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「任せるコツ」を読んで

 山本渉著「任せるコツ」(発行所:株式会社すばる舎)を読んだ。
 仕事に限らず、プライベートでも、何かを人に任せるのは難しい。特に若い頃。でも、歳を重ねれば、それ相応の難しさもある。
 著者は、コンサルティングを業としている人ではなく、現役の企業人。そこがいい。ノウハウを売り物にしている人とはちょっと違う。書きぶり、なんだろうか。実直で現場感覚に溢れ、書いてあることが素直に信じられる。

仕事は手離れよく

 人に仕事を任せる事が出来ず、何もかも抱え込んで、いつもアップアップしてた二十代の私へのアドバイス。上席者に教わった。
 「どんなに頑張っても、一人で出来ることは、たかが知れてる」「抱え込んじゃダメ」等々。今でも納得のアドバイス。

 大概の事は、誰かとつながっていて、自分一人で出来ることなんてめったにない。誰かがつくった服を着て、昼飯だって、誰かが育てた野菜や肉を抱食べてる。
 だからこそ、自分がやりたい仕事に集中しようと思ったら、何かを、誰かと分担した方が効率的。わかっているけど、なかなか出来ない。
 人は、自分のおもいどおりには動いてくれない。まぁ、みんな自分の意思があるから当然。だけど、自分のコピーを、人に求めてしまうんだなぁ。
 どうやって任せる?
 答えは教えてくれなかったので、ノウハウ本を読み漁った。
 あの頃、本書があれば良かったなぁ。本書は分かり易い。

ノウハウは、いろいろ

 ノウハウ本は、ビジネスで成功するための考え方や方法論等々が整理され、サッと読める。理解し易く、良く出来ている。
 どの本も、唯一無二の如く書いてある。「〇〇の極意」的な。だけど、あれもこれも読んでみると、同じような事が、違う表現で示されていることに気付く。きっと、ある程度の法則性・・・ノウハウ・・・はあるんだろう。 
 かつての資金調達と言えば銀行一択だったけど、今ならファンドとか、クラファン、補助金など多様だ。上場企業に限らず、中小企業でのM&Aや事業譲渡なんかも随分と増えてきた。
 時代とともに、ノウハウも変わっていく。 
 だから、絶え間なくノウハウ本が出てくる。もちろん、書籍だけでなく、Web やSNSなど、学ぶツールも格段に増えている。
 いつも、その時代に相応しいノウハウがある。

学び方は、人それぞれ

 本書の“はじめに”に、「風が吹いたとき、ある者は壁を建て、ある者は風車をつくる」という中国のことわざが示されていた。
なるほど、確かに。
 「“風”に、どう対峙していくのか」には、唯一無二の正解はない。
 ことわざ通りに対処する人もいるだろうけど、何もしない人だっているだろう。風の通り道をつくって受け流す人だっている。いろいろ。
  ノウハウ本を読んで解決策を知る。学ぶ事は大事だ。
 でも、「いつ実践するのか、どう実践するか」は、自分で決める。
 ノウハウ通りじゃない。

 私の人生は、自己流。
 それでいい。それがいい。
 だからこそ、「任せるコツ」は、読んでおいた方がいい。
 
                              (敬称略)

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