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【読書】KEN FOLLETT/NEVER
大聖堂を読まずしてケンフォレットは語れない
名作「大聖堂」を書いたケン・フォレット氏の第三次世界大戦勃発シミュレーション小説です。80年代末〜90年代初頭に大聖堂、針の目を読んで以来ファンです。大聖堂の続編も読みましたが、最近の作品は長編が多く少し手が出ていませんでした(特に大聖堂シリーズとか)。
もしまだ読んでいない人は幸せです。あんなに面白い作品にこれから出会えるのですから。そういえばドラマ化されてNHKとかで放送されてもいましたね。
この作品も上・中・下の3巻からなります。しかし1巻1200円もするのでまとめて買うのが憚られ、一冊ずつ買って、読んで、次を買って、としていたので読み終わるまでちょっと時間がかかってしまいました。
第三次世界大戦への警鐘
帯にも書かれているように本作はウクライナ情勢や諸々を鑑みて第三次世界大戦の危険を継承すべく世界同時緊急出版されたとか。
大まかな味付けとしては、話はケン・フォレット氏の持ち味である、複数の主人公グループの別々の行動が徐々に絡まってくるというもので、読んでいて、あー、ここがこう繋がってくるんだなー、とか思わせてくれます。
何せ世界中が関係する話を書くので登場人物もさまざまな立場、国と地域に分かれています(それらがゆるっとつながって物語が進んでいくところが上手いんですね)。
アメリカ合衆国大統領、中国外交部高官、アフリカ駐在のCIA職員、過激派に潜入捜査をしているCIAアンダーカバー、貧困なアフリカからヨーロッパへの脱出を夢見るアフリカの女性(とその子供)。それぞれの立場、そして彼・彼女たちの普通の生活を絡めながら話が進みます。
まず物語はアフリカから(地図を見ながら読むとより面白いですよ)。スーダンとチャドの国境での諍いが絶えませんがそこにイスラムの動きが絡まってきます。現地CIA職員タマラは持ち前の機転でいくつもの難問難関を切り抜けます。こういう女性が活躍するのっていいですね。スキッとします。
一方北朝鮮でもクーデターが勃発します。えらいこっちゃです。北朝鮮は日米安保のような関係を中国と結んでいて、それが事態をややこしくするんですね。
中巻まではまずまずでしたが下巻は怒涛の展開です。
3代目大将軍を彷彿させる指導者に対し、クーデターが起きた北朝鮮、ここぞとばかりに攻め込む韓国。その韓国は女性大統領が本来アメリカの許諾なしには攻撃しないはずなのに暴走。朝鮮半島はアジアの火薬庫状態となり、日本に火の粉が飛んできて、日本のちょっとした動きも中国のメンツを傷つけて、そこから…と連鎖的にとんでもない事態へと進んでいきます。
感想は…
タマラとダブ、アブドゥルとキア・ナジ、チャン・カイ、ポーリーン大統領とピッぱといろいろな立場の人を絡めてそれぞれの国や地域の動きを読ませてくれたケンフォレットのいつもながらの描写力というか巧みさは大作にふさわしいのでしょう。
ですが、個人的には結末がいただけませんでしたが、作者の意図としてはこの本を読んでやばいと感じた我々が、今の世界をややこしくしているダメ指導者たちにこそ読んでもらわないとダメだし、そうはならないよう世界を変えるべきなんだというメッセージを放っているのだと理解しています。今世界はそれくらい危うい状況にあるのだと。
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おすすめ度:★★★☆(そこそこスリリングでケンフォレット味はしっかり出ているんだけど、このボリュームを3冊に分けて、この値段は高い。これでは狙い通り多くの人に読んでもらえないです…)
今回久しぶりにケン・フォレット氏の作品を読んで大聖堂シリーズの新作含め読み直したくなってきました。それらの感想はまたそのうち!すでに買い置きしているΣ関係の新作などが控えているのでそれらを読んでからになりそうです。
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