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心地のよい家づくりってなんだろう | 音楽の力はすごい。

音楽がひきだしてくれるもの


住宅の設計を依頼されると必ずやっている習慣みたいなことがあるという話です。それは音楽の力を借りながら建築を創作するということなのですが、設計に取り掛かる前に、必ず一人で新築であれば計画敷地の真ん中あたりに立って、しばらくイヤホンで音楽を聴きながら佇むんです。改装であればその空間にBOSEのsoundlinkを置いて音楽を流して、できるだけなにも考えないようにしながら、ぼんやりとあたりを見てるんです。結構長い時間やっていると思います。その時によく聴くのは、

House of Voice / Masato Hatanaka

ずっと好きなアルバム

Klavierraum / Henning Schmiedt

雪が降った日の散歩に必ず聴くアルバム

ARTIFACTS/SCENES PIANO WORKS / Tobias Wilden

なぜか情景をモノクローム化するアルバム。ジャケ写のせい?

この他にも音数を抑えた美しい曲を、これどうだろう?と選びながら聴いていきます。これ合うなっと思えたら聴き続ける。そうすると街や周辺の音が聞こえなくなり情景が変わるんです。風にも光にも敏感になるし、周囲の物の輪郭もはっきりとするような感覚になれるんです。音楽が風景を変える力があるのはだれでも経験があると思うのですが、これから新しい空間・建築をつくる時にも、その場所や空間の雰囲気をより感じ取りやすくしてくれる。私のような仕事にはとっても必要な情報。その時感じたことを記憶して、さらにクライアントの話を伺いながら徐々に空間や建築を形作っているんです。

音楽で感じたところに戻れる


設計に迷ったらまたその時の音を聴きます。そうすると気持ちがまた整理できたりします。最初に感じたことを思い出せるようで便利だったりもします。「こっちの方がいい」とか判断がついたりもする。そして設計と工事が終わったら、またその場所でその音を聴くんですね。ちょっとした答え合わせのようなことをしています。

歌ものの時も


佐倉市の平屋 ダイニング
佐倉市の平屋 木製窓のリビング
柔らかい声

佐倉市の平屋を設計している時は An Honest Heart  / Kang Asolを聴きながら作っていました。クライアントのお子さんの印象から自然と歌ものになった気がします。こうやっていつも音楽の力を借りて設計しているような感じで、自然と習慣になってしまいました。
そういえば書いていて思い出しました。だいぶ昔のことですが『渡辺篤史の建もの探訪』にクライアントのご主人が大好きな THE KOLN CONCERT / KEITH JARRETTというアルバムに合う家を作ってほしいと建築家にオーダーしたという回がありました。
天井の高い音響のいい空間を作って要望に応えていましたが、そういうアプローチも素敵な家づくりですね。


息遣いを聴くための名盤?


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