アルセーヌ・ルパンの大いなる秘密を追う⑨-『女探偵ドロテ』ROBの謎②-
Akiko Nishimoto lit.link(リットリンク)
今日は、前回の続きであるROBの謎の続きを書きたいと思います。
その前に、『女探偵ドロテ』のあらすじを以前のブログで簡単にまとめていたので、それを以下に貼っておきます。
アルセーヌ・ルパン『女探偵ドロテ』-隠された財宝を巡る冒険!イン・ロボール・フォルチュナとは?-|西本亜希子 (note.com)
まず、物語の冒頭、1章のタイトルがロボレー城le château de Roboreyで、この城館が物語前半の舞台になります。
ドロテは、戦争孤児の4人の男の子を引き取って、サーカス団を結成し、フランス中を横断しているんですが、戦争孤児のサンカタンがこの城に忍び込むんですね。
詳しいいきさつは省きますが、一旦この城を去ったものの、この城の名前がロボレー城であることを知ったドロテは、城に引き返します。
なぜなら、父が臨終の際につぶやいていた言葉が、ロボレーだから。
ドロテは、父がうわごとのように言っていたロボレーの意味が分からず、ずっと知りたいと思っていたんですね。
そして、城館に招かれ、ドロテは城館に住む人々の占いをするわけですが、そこでこのお城の女主人である伯爵夫人が、「このロボレー城は、数世紀前に建てられたお城で、ここを舞台に様々な冒険やドラマが繰り広げられてきた。このお城のどこかに途方もない財宝が埋まっていないか?」とドロテに聞きます。
ドロテは、城の前庭にある噴水の大理石の文字に「Fortuna(フォルチュナ)」と刻まれていること、そして同じ言葉が日時計の文字盤にも刻まれていることを告げます。
そして、ドロテは皆を占っている時に、伯爵夫人に金庫からサファイアのイヤリングが盗まれたことも告げます。
しかも、金庫の暗号は、ROB。
まとめると・・・
・父が臨終の間際に呟いていたロボレー Roborey
・金庫の暗号 ROB
・ロボレー城 le château de Roborey
物語の冒頭だけでも、ROBが沢山登場するんですね。
そして、物語の最後に明らかになるイン・ロボール・フォルチュナIn robore fortuna。このroboreはフランス語のrobur(ロビュール)と似ており、楢という意味もあるんです。
roboreは楢の木、Inは中、fortunaは財宝を表し、「財宝は楢の木の中」を意味していたんですね。
因みに、楢の木って、こんな感じの木です↓
ヨーロッパナラ - Wikipedia
私はまだ最後のほうまで再読できてなくて覚えていないのですが、木の中に財宝が隠されていたのは覚えていますが、楢だったかな・・・?
そして、『ジュール・ヴェルヌの暗号 -レンヌ=ル=シャトーの謎と秘密結社-』の作者さんがもう1つ述べているのですが、roburは、ジュール・ヴェルヌの『征服者ロビュール』( Robur le Conquérant )も表しているのではないか⁉と推察されています。
『ジュール・ヴェルヌの暗号』の作者さんは、この女探偵ドロテが、ジュール・ヴェルヌの影響を大いに受けている作品だと仰っているんですね。
そして、roburはフランス語で、「力、強固さ、エネルギー」という別の意味もあるようで、イン・ロボール・フォルチュナIn robore fortunaは、財宝は魂の強固さにある、も表しているんです。
そういえば、英語でもrobustは、たくましい、強健な、がっしりした、強固な、という意味を表すことを、ふと思い出しました。
「財宝は魂の力強さにある」ということを、作者ルブランさんは最終的に伝えたかったのではないかと思っています。
このように、ROBにはたくさんの暗号のようなものが含まれていることがわかります。
今回、メロヴィング王朝のことも書こうかと思っていたのですが、まだ最後まで再読できていないので💦、読み終わったら皆様にメロヴィング王朝の秘密もシェアしたいと思います。
今日も駆け足でのご紹介でしたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B092HJ777S
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