アルセーヌ・ルパン『八点鐘』「テレーズとジェルメーヌ」-密室殺人と胸がスカッとするルパンの行動-
(Spoiler Alert! ネタバレ注意!)
この「テレーズとジェルメーヌ」に関しては、拙著で詳しく取り上げたのですが、今、アメブロの過去記事からnoteへの移行作業中なので、こちらでも取り上げたいと思います。
因みに、今回の記事は、2018年3月にアメブロに書いていた記事をベースに加筆・修正しています。
さて、物語の舞台は、フランスのノルマンディーにあるエトルタという街です。
拙著でも紹介していますが、エトルタはご存知の通り、『奇岩城』の舞台にもなっていて、ルパンファンなら必ず訪れたい場所の1つです。
冒頭でルパンとオルタンスが、海の目の前にあるカジノに腰を下ろして会話をしているのですが、このカジノは現在も存在しており、2019年に実際に私がエトルタを訪れた時に、食事をしました。
食事だけでもOKなので、エトルタに行くことが出来たら、ここでまた食べたいと思います。
拙著にそのカジノの写真を紹介しているので、ご一読くださいませ。
2人はカジノのテラスに座り、オルタンスはルパンの情報提供者の1人が、エトルタで殺人が行われるという情報をつかんだことを知る。
そして、新聞の通信欄で「エトルタ トロワ・マチルド」を目にしたルパンは、情報提供者が言っていた通り、エトルタで殺人が起こるかもしれないと推測し、エトルタにやってきていた。
この「トロワ・マチルド」は、実際に今もエトルタにあり、宿泊施設(別荘)のようですが、町の中心から離れているので、少々行きづらいかもしれません。
この場所で、ある人間が殺人を行おうとしていたんですね。
しかし、実際に死人が出たのは、海辺の脱衣所で、しかも脱衣所には死体以外誰もいなかった!
密室殺人であり、どうやって殺されたのか?
そこへ殺された男性と知り合いだという1組の兄妹がやってくる。
ルパンは殺された旦那の奥さんと妹を同じ部屋へ呼び寄せる。
2人の女はお互い激しい憎しみを抱いていた。
奥さんと知り合いのこの女が、実は奥さんを殺そうとしていたが、奥さんが旦那を先に殺してしまっていたんですね。(旦那とその女が不倫関係であることを奥さんは知っていた)
まあ、でもこの女は、とにかく奥さんに対してえらそうな物言いで、私は反吐が出そうになります。
あんたが悪いのに(不倫&奥さんが邪魔なので殺人を企てていた)、なんでそんなにえらそうに出来るのか⁉
でも、ルパンが1ミクロンたりとも反論できない方法で、その女を退場させるので、最後は胸が本当にスカッとします。
ルパンは、この物語に限らず、相手(犯人)を黙らせるのが本当にうまい。犯人に限らず、ちゃんと理論的に話をもっていくことが出来る。私も見習いたい。