見出し画像

スイーツはアート。味覚の錬金術師が生み出すフルコース。

本格派スイーツのフルコースをいただけるお茶会。
しかも完全招待制。なんともワクワクする響き。
友人でパティシエの、大島康介さんが開くお茶会に行ってきました。

味覚の錬金術師」の異名を持つ彼にお呼ばれしたのは
少し涼しい5月半ばの土曜日のこと。
場所は門前町の風情が漂う東急池上線・池上の駅前商店街。
チェーン店から昔ながらの個人商店まで、活気あふれるストリートを10分くらい歩くと出会う小さなお店。
普段は「金のマドレーヌ工場」として営業している場所で、
大島さんは工場の主任パティシエでもあります。
金のマドレーヌ工場のオーナーの厚意で、工場がお休みの日に不定期で
大島さんのお茶会を開きこだわりスイーツをふるまっているそうです。

お茶会のスタートは15時。ちょうどおやつの時間です。
会場となったお店のドアを開けると、エプロン姿の大島さんが出迎えてくれました。
厨房からは甘くていい香りが漂ってきます。

真剣な面持ちのパティシエ・大島さん


ほかの招待客は2名。お一人はジビエを使ったハンバーガーのプロデューサー、お一人は有名作品の題字を手掛ける書家。スイーツを待つ間、クリエイティブな才能あふれるお2人とのお話にも花が咲きました。

前菜~6種の小さなスイーツプレート~


最初の品は、6種のスイーツを載せたプレート。

(左から順に)ジャスミンのパウンドケーキ、マカロン、カヌレ、桜のレアチーズケーキ、オレンジ風味のアーモンドケーキ、バジルのパウンドケーキ


桜味のレアチーズケーキなんてめずらしい!
えっ、バジルをパウンドケーキに入れるの?
意表を突く組み合わせに、私たちは大盛り上がりでした。
ジャスミンのパウンドケーキには、レモンピールを効かせて大人の味わいを楽しめる一工夫も。
桜のレアチーズケーキは、クレームダンジュと呼ばれるフレッシュでやわらかいチーズケーキ。口に運ぶととろけるような食感と優しい桜の香りが印象的でした。大島さんが師事していたパティシエの方が作るクレームダンジュがあまりに美味しく、インスパイアされる形で生み出したそうです。

美味しいスイーツをこんな風にちょっとずついただくのはそれだけで贅沢な気持ちになれます。

焼き菓子の盛り合わせに大人のプリンを添えて

その次に頂いたのは、焼き菓子をふんだんに盛り合わせた贅沢なプレート。

上から時計回りにロイヤルミルクティーのプリン、シュトレン、ザクザク食感のクッキー、 ココナッツといちごのタルト、ベーコン・トマト・そら豆のキッシュ、北海道産スペルト小麦のスコーン

ボリューミーな焼き菓子がこれでもかと並び、自然に歓声が上がります。
夏みかんのさわやかなソースを添えていただくプリンは、焼き菓子に合わせていただくために甘さを極限まで抑えたこだわりの品。
カラメルソースをかけて食べる甘いプリンのイメージを、いい意味でくつがえしてくれます。甘さはごくごく控えめで、口に入れた瞬間ロイヤルミルクティーの風味が広がります。夏みかんの酸味が効いたソースが自然な甘さを感じさせてくれる、洋酒にも合いそうな大人の味。茶葉のコクを感じながらさっぱりといただくのがとても新鮮でした。
この日話してくれたことによると、大島さんにとってプリンは特別な存在。パティシエを志すきっかけとなったのが、少年時代に見よう見まねでつくったプリンだそうです。だからこんなにすばらしい味わいを生み出せるのか、と納得しました。

さらに驚きだったのが、なんと桜の香りづけをしたシュトレン。ドイツ発祥でクリスマスシーズンに見かける印象が強いですが、もともと冬の食べ物というわけではないそうです。
「保存食としてつくられたもので、いわば昔のエナジーバーです。」という大島さんの話は目からウロコでした。
ぎっしりと詰まったドライフルーツに、桜の後味がなんともいえない幸せでした。

シュトレン、クッキー、タルトの後にいただくキッシュは旬のそら豆がぎっしり。スイーツのコースにキッシュとはユニークに思えますが、甘いものを食べるとつい塩味が恋しくなりますよね。
わたしたちの気持ちを見越したかのような、パティシエの粋な計らいでした。

焼き立てのスコーンは北海道産のスペルト小麦を使った香ばしく素朴な味わいです。スペルト小麦とは、品種改良を加える前の原種に近い小麦でアレルギー反応が出にくいとも言われているそうです。一緒に出していただいたスパイス風味のジャム・イチゴとオレンジのジャムがベストマッチでした。

左:スパイス風味のジャム 右:イチゴとオレンジのジャム


アレルギーに完全対応!最後までこころときめくプレート。


最後のプレートはこちら。このプレートには裏話があります。
アレルギーでアーモンド・ピーナッツ以外のナッツ類が一切食べられないわたし。事前にお伝えしたところ、しっかりと配慮したメニューを出してくださったのです。

左から順にバスクチーズケーキ、パート・ド・フリュイ、パウンドケーキ、ドライオニオンのクッキー、ゴマのフィナンシェ、ココナッツのブランマンジェ・イチゴのソース

パート・ド・フリュイという名前は初めて聞く方も多いかもしれません。
ザラメ糖をまぶしたフルーツ味のハードゼリーで、グミと寒天の間のような弾力がとても楽しい。もともと、たくさん収穫したフルーツを長期保存するために生み出されたお菓子だそうです。だからお砂糖をたっぷりまぶして甘めの味付けになっているのだとか。
高温で焼き上げずっしりとした質感のバスクチーズケーキもとろとろのブランマンジェも、月並みな言葉ですがもう最高!

ここまででたくさんのスイーツを堪能し、相当お腹が満たされてきた私たち。大島さんのご厚意で、焼き菓子をお家に持ち帰るお土産にさせていただきました。
ここが少人数・完全招待制ならではのうれしいお心遣いです。
優雅なお茶会の後には、お家でプロの味を堪能しながらティータイムを味わえると考えると、とってもお得な気分です!

五感を刺激される、まさにアートなお茶会。


大島さんのお茶会の魅力は、ひとつひとつのエピソードやうんちくを聞かせてもらいながら味わえるところ。
見て楽しく、食べておいしく、スイーツの雑学やパティシエの思い入れをその場で聞けるお茶会。五感が存分に刺激される、まさにアートです。
これだけのコースを4000円でいただけるお値打ち感も魅力の一つ。
味覚の錬金術師が生み出すスイーツをぜひ一度味わってみませんか?


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?