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日常の掌小説

49
掌小説を纏めています。
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記事一覧

船越先生

すみません。 あまりにもダイレクトすぎて申し訳ありません。 まだ、ご存命であれば何歳におな…

樹亜希
2年前
18

好事魔が差しING

 だ、か、ら。  で、なんだって、言うんだ。  まあ、最後はいつもこんな感じ。  裕也は顔…

樹亜希
2年前
15

知らなかった未来

 私は誰もが知らない未来をこの先描くことができなかった。  時間がそれを許さなかったから…

樹亜希
2年前
24

春は駆け足で

どうしてもこう、春になると人は浮かれ易くなるのだろうか。 用事があり、大きな駅の前でタク…

樹亜希
2年前
22

言えなかった一言

 僕はこの季節になると思い出してしまう。  還暦にはあと10年ほどあるけれども、妻と、子供…

樹亜希
2年前
55

忘れていた・感覚

 暖房の効いた部屋の外は幹線道路で、交通量は普通なのだが、今朝は静かで助かった。宏樹がま…

樹亜希
2年前
18

荒々しい 愛みたいなもの

 縛られたヒモが食い込んで腕が痛い。 「やめて、いたいよぅ」」 「いいもんだね。麻友の前でこうしてアイス食べるのも悪くない」 「お願い、外して」  私は白い腕に食い込んだビニールテープを外そうとするが、後ろでに縛られているので呻くことしかできないので、外してほしいと懇願するしかない。 「肩の上に溶けたアイスをのせてみる」  子供みたいに、浩之はタンクトップの筋肉質のうでをまくり、突然はりきって近寄る。この人こんな男だったのかと今更後悔している私。  やめてとは言

どうしようもなくて・

「分からないな。どうしてこういう事しかいえないんだ?」 「私も言いたくないわ。こちらが言…

樹亜希
3年前
28

一時間 寝た

「今度、いつ会える?」  私の記憶はあまり確かではない。病気なのかもしれないが、怖いから…

樹亜希
3年前
25

なんか・ちょっとやばくない?

 美冬の足元に昨夜脱いだ下着がかたまっている。 「ほらよ」  弘樹がポンと纏めておいて、…

樹亜希
3年前
19

聖なる夜に 願いを

 私のこと、よんだ?  咲良は深夜三時過ぎに目が覚めた。  誰かに呼ばれたような気がして…

樹亜希
3年前
31

気になる 何となく

「それ、どうしたんだよ」  智也はむすっとした顔で私の顔を見ずに言う。 「なに?」 「だ…

樹亜希
3年前
18

きらめきを探さない

 私はお腹がよく減る方で、色気よりも食い気だと孝也にいつも笑われている。思い起こせば高校…

樹亜希
3年前
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十三参りによせて

「あら、ごめんなさい」  わたしは、すれ違う十三参りの付き添いのお母さんとバッグがあたったのでとっさに謝った。だが、振り返ってはいけないというしきたりがある。会釈だけの母親。袖摺れ、なんと優雅な言葉だろうか。娘さんの上品なピンクベースの華やかなお着物に目が奪われる。御所車の柄に花々チラシの艶やかなこと……。  平安貴族達は思いを寄せる人の為に自分の着物(衣)に香(かおり)を焚きしめた。京都、嵐山の渡月橋を行き交う笑顔。初めて化粧を施したであろう、ピンクや赤の口紅や頬に赤み