YouTubeが"目的化"している
ここ最近、YouTubeの再生回数がなかなか伸びにくくなっています。さらに、Web系の動画制作全般に視点を広げても、スマホやPCの高機能化も相まって、TwitterなどSNS経由で案件を募るプレイヤーが一気に増えて、動画市場は超レッドオーシャンな状態になっています。
岡田斗司夫氏はこの動画の中でイノベーター理論を用いて「YouTubeバブルは崩壊する」と述べています。
動画が収録されたのは2020年12月ですが、結論で述べている通り依然としてYouTubeの次が見つかっていない。コンテンツ面ではShorts動画や切り抜き動画が流行ったり、低評価数が非表示になるなどアップデートはされていますが、既存プレイヤーがなかなか移転しないので新規プレイヤーにとってはますますハードルが高くなっています。
一方で、私がYouTubeバブルの崩壊を体感しつつあるのは、「おじさんクライアント」が増えている点です。
おじさんクライアントの特徴
イノベーター理論でいう「レイトマジョリティ」の一部がそれに当たります。まず、参入する目的が顕在化された課題解決やユーザーコミュニケーションではなく、時代遅れにならないようにとか、上層部への「やってる感」アピールという動機だったりします。
もちろんチャレンジすることは良いことですし、規模が小さいレベルであればいいですが、会社の看板を背負いながら「手段が目的化」している状態では、全体最適など目指せません。
特に目立つのが、自分(や会社)の言いたいことを言えばみんな聞いてくれるという過去の成功体験や固定概念を捨てられない点です。旧来のマスメディア、マス広告的なイメージがこびりついています。YouTubeは既にニッチメディア化、ファストメディア化しています。
さらに彼らが立ち上げる企画は、おじさんイメージしやすいテレビ番組風が定番。華としてアイドルを添えたり、社員をYouTuber化させるなど、ブームに乗っかります。
しかし肝心の中身は、社内の各部署に配慮した無難な内容や、趣味要素が強い小難しい内容や内輪ノリになりがちです。
視聴ターゲットも細かく仕分けする発想が無いため、結局、軸が定まらず、誰に向けて何を届けたいのかが非常に分かりにくい、幕の内弁当的なコンテンツにしかならない。
さらに、言いたいことを言いたいだけなので、表面的な再生回数は気にしますが、細かい分析やマーケティング、競合相手には興味がありません。自分たちの考えを否定されたら慌てふためき、ロジックで説得すると思考停止に陥り、対応も場当たり的。社内での連携も上手くいかず、成果を出したい外部の制作会社との期待値のズレが生じやすくなる。
https://code365.hatenablog.com/entry/means-into-end
正しい使い方が出来ず、市場やサービスの治安を悪くするだけの存在になってしまう。まぁこれはYouTube案件に限らず、レガシーな体質の会社ではよくある光景ですが…。
どうする?
アーリーアダプターや一部の有名人は、YouTubeのルールやその他トレンドが変わっても柔軟に対応するでしょうし、そもそもYouTubeにしがみつくことも無い気がします。フォロワーも質が高いので簡単には離れません。
一方、おじさんクライアントを開拓するしか体力やルートの無い制作会社やクリエイターは、今までの成功体験やノウハウ・ロジックが通じないフェーズに突入していることに、意識を向けることが必要ではないでしょうか。
今のところ自分も模索中ですが、もし動画で生きていくのであれば…
・マジョリティを相手に、正しい方法を地道に啓蒙し続ける
・経験を活かした新たなスキルやアイデアで、イノベーターを開拓する
・参入障壁の高いメディアやサービス側にフィールドを移す
など、どのポジションを取るかが、今後重要な気がしています。
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