カナイアキヒデ

動画ディレクター、YouTube運用、マーケティングをやっています。元テレビマン https://akihidep.work/

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最近の記事

動画をやめ…なかった

動画をやめるはずで今年春にデザイン会社に転職しましたが、結局動画を作り続ける1年になりました。 クライアントワークの映像制作をやりつつ、更新が滞っていた自社YouTubeチャンネルの運用を任され、月1−2本ペースで動画を更新。その大半は企画・撮影・編集まで担当しました。 自社はこれまで事例やコラムなど「じっくり読ませる」系の情報発信は多いものの、SNSやnoteなど、速さ重視のライトなコミュニケーションは、発信量が少ない現状がありました。私が1年前に転職エージェントに紹介

    • 動画をやめます

      明日からとある会社に転職する。 肩書きは映像プロデューサーなのですが、今までやってきたYouTubeやSNSに適した「ファスト」な動画コンテンツではなく、どちらかといえば「スロー」なペースで、新しい映像コンテンツの可能性を追求する、という業務の予定です。正直なところまだよくわかっていません。 2016年に動画のスタートアップ会社にジョインして以降、「人間の集中力は3秒が限界」「大衆は無知で賢くない」という前提の下、いかにクイックに目立ち、いかにわかりやすく、いかに数字で正

      • 2022年について

        動画制作業ですが、2022年は全体的に停滞していました。21年は運用やマネジメントがメインだったのが、22年は不景気のあおりで自分で手を動かさざるを得なくなり、非常にコスパの悪い1年でした。 運用やマネジメントができることは、クライアントや会社からリソースを「前借り」できている状態だといえます。予算以上の金額が目の前にあるようなもので、それをコントロールできることに手応えを感じ、成功と失敗を積み重ね、可視化された成果をもとに報酬が得られる。 改めて自分のキャリアの軸を見直

        • 課題解決は悪なのか

          以前、けんすうさんがポスト資本主義について「課題解決は重要ではなくなっている」とツイートされていました。 言うまでもないですが、世の中は課題だらけです。 閉塞的な環境は常に息苦しく、自分も仕事や活動を通じてそれを変えたい、という意欲を持ち続けています。 一方で、これまで資本主義の恩恵を受けた企業や個人が、グローバル化やテクノロジーの進化の過程で「どうにかして生き残る」ことを迫られ、無理やり課題を作ったり、小さな問題を大きく見せて、それでビジネスをするということも少なくあ

          事実よりも経験を語ることについて

          先日行われた国葬で、菅元首相の弔辞が注目されました。 穏やかで朴訥な口調は、首相時代には批判も少なくなかったですが、大事なものを失った悲しみや、これまで目にしてきた光景が、しみじみと伝わってきました。 人の心を動かすのは事実ではなく”主観"であると、こちらのツイートでは分析されていますが、そうだなと感じた経験があります。 芸能人のYouTubeチャンネルで、いわゆる「広告案件」を受けることが少なく無いのですが、大抵は「事実ベースの訴求ポイント」や、特に美容商材では「NG

          事実よりも経験を語ることについて

          シン・ムラ社会のコンテンツ

          バズ動画や分散型メディアブームに代わり、YouTuberやインフルエンサーなど、個人クリエイターの影響力が増すようになったのが、2019年ごろの話でした。 しかし、最近のSNSはプラットフォーム側のレコメンド露出が増え、自分が「見たい」コンテンツだけに接することが難しくなっています。 港区に憧れる足立区、足立区に興味ない港区 この現象を(例えが悪くて申し訳ないですが)東京だと足立区と港区が一つになったと仮定します。文化も価値観もリテラシーも異なる人たちとの共存を迫られれば

          シン・ムラ社会のコンテンツ

          大きくも小さくもない動画コンテンツ

          昨年から、滋賀県にある「琵琶湖博物館」の動画コンテンツ制作を、演出ディレクターとしてお手伝いしています。 琵琶湖にまつわる「弥生土器」や「外来植物」といった歴史や自然、それを研究している学芸員の想いや成果を紹介しています。 しかし、いくらわかりやすく伝えようとしても、こうしたマイナーでニッチなネタに興味を持ってくれる大衆は一般的には多くなく、数字も稼げない。 琵琶博さんは県の事業なので、こうした地道な活動にも予算をそれなりに割けているのかもしれませんが、民間や非営利、少

          大きくも小さくもない動画コンテンツ

          コンテンツ制作における分業について

          最近、動画制作に対してあまりモチベーションが高くないのですが、そのモヤモヤの原因になかなか理解できずにいました。 しかし以前古本屋で購入した、フランスの哲学者が記した本を読み返したところ、このような記述がありました。 今まで「分業」という概念について深く考えたことがなかったですが、考えていくと、とても納得感があることに気づきました。 動画制作における分業動画制作(特に広告案件)は、予算の規模感や専門性の高さが故に分業化されるのが一般的です。クライアントや代理店のみなさま

          コンテンツ制作における分業について

          真のユーザーファーストはデータを見よ

          以前こちらの記事を書きました。動画コンテンツのレッドオーシャン化と、それでも参入するものの現状維持から逃れられない"おじさんクライアント"について考えました。 それに関連して興味深い記事がありました。 「すべてのジャンルはマニアが潰す」という言葉は、商品を買ったりサービスを受ける側だけではなく、商品やサービスを提供する側にも言えることだと強く感じています。 商品やサービスを提供する側は、仕事として取り組むわけですから、その商品やサービスにずっと向き合っているわけです。だ

          真のユーザーファーストはデータを見よ

          技術志向から科学志向へ

          要は「手段と目的」についての話です。 日本を代表するマーケターの一人で、USJを立て直した森岡毅氏は著書で、日本企業の停滞は「技術志向」に原因があり、マーケティングをおそろかにしていたから、と指摘しています。 私自身もこれまでのキャリアは「技術志向」のディレクターでした。VRの黎明期に360度動画を作ったり、SNSが盛んになるとバズ動画を作るなど、流行りのコンテンツを次々と追いかけ、クライアントに提案してきました。 しかし、それが売り上げに貢献したり、世の中に大きなイン

          技術志向から科学志向へ

          YouTubeが"目的化"している

          ここ最近、YouTubeの再生回数がなかなか伸びにくくなっています。さらに、Web系の動画制作全般に視点を広げても、スマホやPCの高機能化も相まって、TwitterなどSNS経由で案件を募るプレイヤーが一気に増えて、動画市場は超レッドオーシャンな状態になっています。 岡田斗司夫氏はこの動画の中でイノベーター理論を用いて「YouTubeバブルは崩壊する」と述べています。 動画が収録されたのは2020年12月ですが、結論で述べている通り依然としてYouTubeの次が見つかって

          YouTubeが"目的化"している

          自己改善を成していく

          今年の目標、というか当分の自分の活動目標を ことにしました。 やや抽象的な目標ですが、それに至った理由をまとめました。 非合理な人間たちの壁一昨年からはコンテンツの実制作だけでなく、中長期の運用支援やコンサルぽい業務にも携わるようになりました。 しかし、運用結果や改善案に対してクライアントが弱腰になり、なかなか改善に繋がらないケースがありました。更にユーザーを無視した場当たり的な要望も増え、対応するスタッフの疲弊や苛立ちも目立つようになりました。 ゴールは同じはずな

          自己改善を成していく

          芸能人YouTubeを半年間運用してみての感想

          今年の春から半年間、とある芸能人YouTubeの制作運用をいくつか担当していました。対照的な結果となったので、学びとしてまとめます。 担当していたのは ・女性モデルA ・女性アーティストB (※現在他社で運用されているので、具体的に誰かは伏せておきます) TVでよく見る芸能人というよりは”インフルエンサー"の方が実態に近いと思います。 得意なジャンルを伸ばすモデルAの場合、担当前はファッションやメイクに加え、「100の質問」「カバンの中身」「激辛メニュー」など、YouTu

          芸能人YouTubeを半年間運用してみての感想

          器用貧乏な動画ディレクターが今までやってきた2つのこと

          新卒から映像(動画)業界に入り、ディレクターを始めてもうすぐ10年経ちますが、いまだに自分は「器用貧乏」だなと思ってます。 職場はコロコロ変わるし、フリーランスで勝負できるほどの強いスキルや実績もない。自己主張したいことも特にないし、稼ぐためには何でもするような意識の高い人間でもない。(お金はほしいけど) どちらかといえば、誰かのために、目の前の仕事を一所懸命に取り組めることがモチベーションにつながるタイプだと自認しています。 良い動画、良い現場にしていくために、自分が

          器用貧乏な動画ディレクターが今までやってきた2つのこと

          自分自身を知る

          今年は本当にいろいろありました。 とりあえず、1月に動画クリエイターから某マーケティング系の会社に転職しましたが、12月に去ることになりました。 未経験が故に業務内容が合わなかったというよりは、社風が極端に合わなかったというのが、いまのところの感想です。思った以上に成果を出せず、対人関係でもストレスが増えて苦しかった。 なぜこうなってしまったのか、改めて自分について考えてみました。 以下、こちらの本やサイトを参考にしました。 マーケティングの仕事と年収のリアル(山口義

          自分自身を知る

          自分が面白いと感じたものは、普遍的に面白いのか?

          企画の力を身に付けるための連続講座「言葉の企画2020」 今年7月、テレビ朝日のディレクター、芦田太郎さんをゲストに迎え行われた回の講義「テレビの企画」に参加し、その感想として書いたnoteです。 「テレビの企画」と聞いて、ザワザワしました。 テレビの世界は、自分にとっては昔も今も「憧れ」であると共に、何度も逃げたり戻ったりしていて、何か因縁を感じる存在なのです。 すみません、自分のことを書きます。 (2011年春〜)大学卒業後、番組制作会社に就職し、某ゴールデンのレ

          自分が面白いと感じたものは、普遍的に面白いのか?