メタ認知の姿勢と力をつける授業とは?大前暁政著 「本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業デザイン 41のこと」(明治図書)より
大前暁政著 「本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業デザイン 41のこと」(明治図書)より
本書は,2030年に向けた新しい授業デザインに関する書です。
本書の中に,メタ認知の知性と力をつける授業が出てきます。
メタ認知とは,アメリカの心理学者ジョン・H・不ラベルが概念化した「認識している自分を認識すること」を意味する言葉です。
このようなメタ認知の姿勢や力を育てる必要が,これからの授業ではあるのです。
本書でも,2030年に向けた新しい授業として紹介されています。
大切なのは,このメタ認知には,「姿勢」と「力」の両面があるということです。
このことは,文部科学省の様々な答申や報告でも示されています。
また,OECDのラーニングコンパスや,2030年に向けた学習枠組みでも示されています。
さて,メタ認知の力を育てようと思ったら,そのための授業をデザインしなくてもなりません。
例えば,何らかの学習をしているとして,その学習をしているときは,子供達は目の前の現実世界に溶け込んでしまっていて,その物語の中に一体化してしまっています。
つまり,メタ認知はなかなか,活動と同時にはできません。
よって,例えば,学習後や,単元の最後など,記憶がまだ新しいうちに,
自分はどうやって学習を進めてきたのか?
自分は何をしてきたのか?何をしていたのか?
自分はどう考えているか?
を振り返らせるという授業が必要になるのです。
自分が経験した物語と,自分を切り離して,自分に注意を向けてみるわけです。
この認識の時間をあえてとることが,メタ認知の姿勢と力を育てる授業なのです。
例えば,「文体」というものがあります。
作文には種類があるのです。
論文調だったり,叙述調だったり,感想文調だったりします。
自分の作文がどれに近いのか。
自分の作文はどれが得意なのか。
そういうことを振り返ってみたことがあるでしょうか?
たぶん,そういう大人はほとんどいないと思います。
なぜなら,メタ認知をする授業そのものがこれまでにほとんど存在していなかったからです。
よって,私たち教師は,新しい授業のデザインを学ばないといけないという
わけです。
メタ認知には「力」と「姿勢」があると言いました。
この2つを意識して使っている人は、依然として少数派です。
力と姿勢では,行う授業が違ってきます。
力を育てる授業と,姿勢を育てる授業では,やり方が異なるのです。
このように,育てたい資質・能力が,先にあります。
今回の場合は,メタ認知の力と姿勢です。
そして,次に子供の実態があります。
続いて,授業デザインの方法論があります。
理論があります。
それらを総合して考えた結果,よりよい最善の授業が決まるのです。
つまり、授業デザインの方法論を知らないと、最善の授業はできないのです。
このことが次のページに端的に示されています。
私たち教師は,これから求められる新しい授業を経験してきていません。
よって,新しい授業のデザインの仕方,その理論を学ぶ必要があるのです。
およそ,授業をする人は,全員が「授業デザイン」を学ばなくてはなりません。
学校の教師だけでなく,塾でも,企業研修の担当者でも同じです。
本書は,プロの知恵や技を余すところなく紹介してくれるので,これこそが,今,すぐに学ぶべき内容なのです。
心ある教師ならば,教室や寝室に一冊は絶対に置いておきたい本です。