関心領域
映画『関心領域』を観た。
よく学校のいじめ問題でも言われることだが、無関心でいること、知っているのに見て見ぬふりをしているのも共犯だ、ということをずっと突きつけられている映画だった。
人間はどこまでも愚かだし哀れな生きものだ。
正義のためなら人を傷つけるし命だって簡単に奪う。そして自らの命だって終わらせてしまえる。そんなのさびしいよ。
みんな、今、全然余裕ない。
なぜなの?
SNSでは知らない誰かを平気で傷つけたり、自分の正しさだけを主張し続けたりする。言葉が強すぎる。凶器としての言葉が多すぎる。知らない誰かの言葉で簡単に傷つく。会ったこともない名前も知らない人になんでそんなことが言えちゃうの?わからない。全然わからない。
何でもかんでも効率を求めて「わかりにく」「遅い」「時間のムダ」とあらゆるものを省略していく。確かに無駄なものは削るべきだけど、本当に無駄なものかを考える時間さえ削ってしまっている。それでは正しい判断はできない。そして、大事なコミュニケーションもどんどん削られていく。人間関係に効率を求めたら終わりだよ。
何もしない、は状況を悪化させるいちばんの近道だと思う。 そう思うから、私はいつだって何かしたい。空回ってばかりいるけど、やらないよりは良い、と言い聞かせて自分を励ます。
人を傷つけるくらいなら自分が傷つきたい。
きれいごとなんかじゃなく、これが私の健やかに生きる防衛策なの。
人を傷つけてしまったら、その現実に自分が耐えられないから。
やさしい人になりたい。