フリーランス翻訳者生活の効用
フリーランス翻訳者になって、約半年が経過した。
この半年、人生で一番、翻訳作業というものをしたと思う。まだ半年しか経っていないが、体感としてはもう何年もこの生活を送ってる気がしてしまう。おそらく、大変だったから。
辞めたい、と途中で思った。とにかく、単価が低いわりに頭を酷使するという無限のサイクルに、心身がもろに疲弊していった。
つらいのだ、単純に。
でも。同時に、そこにやっぱり「何か」がある。
その、輪郭を持たない何かが何なのか。分からないが。
うれしいことがあった。
ずっと読みたかった洋書が、ある書店に在庫があることが分かって、購入する前に、さわりを読んでみようと思い立った。
書店に行き、本を探して手に取り、数ページを読んでみておどろいた。
内容が、いまだかつてないほど、頭にするすると入ってくる。
今までは、文字が壁のように見えた類の洋書が、なぜか急に、文字を紐解く作業をすっ飛ばして、英語の文字からじかに意味が入ってくる感覚。
あれ?もしかして、英語力が飛躍した?
人間の脳って、すごい。筋トレみたいに、毎日の積み上げで、いくつになっても伸びしろがあるんだ。
こわくもあった。今まで、どれだけの怠惰で、自分のポテンシャルをフイにしてきたのだろう?
やれば、できるのだ。
そのシンプルな真実。
単に疲弊しただけでなく、ちゃんと脳が鍛えられてたのかと思うと、少し救われた。
こういううれしさは、久しぶりにいいものだった。