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【溺れるくらい愛しましょう、ぐちゃぐちゃにしちゃうよ、だって君は】まひるとやひこ

一番最初

 「朝日真昼(あさひまひる)。ゆうまはきょうから、ぼくぅのおとうとだからぁ、よろしくねぇ」

ニヒッと笑うキミドリ色のおとこの子……まひるさんはおなかをかんだあと、またムチュウでペチャペチャとなめはじめた。

ハイイロのハダギを着たまひるさんは子どもみたいな話し方に合わないおとなみたいなからだをしている。

クロい感じのハダにムキムキしたキンニクがモリモリしているから、ほんとうにきゅうけつきなのかとおもってしまった。

それにこの人の弟……きゅうけつきの弟が人間ってフシギな感じがする。

ふとそうおもっただけなのに、まひるさんは目だけで見てて、アカい舌を下から上へうごかす。

ぺッ……チャッ!

「アアアッ!」

スイッチを入れられたようにさけんだ声をきいて、クククッと笑う小さい声とブルブルを感じた。
  

 チュッ……チュッ……

まひるさんのすい方が変わる。

「ア、ンぁ……アン!」

それに合わせるようにしぜんとこしがうごくぼく。

「あふれでてきよるわ……かんじてんの?」

「わから、ない……です」

「うそついたらあかんでぇ」

ペチャ、ペチャ

わざと大きな音を立ててなめ、口に付いた血をぐるりとふいて、ニヒッと笑う。

あごの右のほうにある大きいほくろが見えるから、ぼくはあたたかい息をだす。

「もっときもちようなってなぁ、まあにぃがぜんぶうけとめたる」

またチュッチュッになってすい続けるまひるさん。

上だけぬいでいるキミドリの服がデンキよりも明るく見えて、目がチカチカする。


 ぼくはきりかえるためにこの部屋の中を見ることにする。

ピンクと白のせんが入ったドアとかべにびっしりと写真がはってある。

左からしろ、ピンク、ミドリ、オレンジと4つに分かれているようだ。

そして、ぼくらがいるベッド。

 まひるさんの部屋?
 
 それとも、ピンク色のカレの部屋かな?

 
「やつがれのこと、お忘れでごさいませんか?」

いきなり、くびをグッとかまれてジュッとすわれた。

「アッ、アハッ……ァ」

くびがしめられたくるしさといきなり感じる気持ちよさにまたクラクラしはじめる。

「穏やかなやつがれでも怒ると怖いのでございます」

変になった息を直そうと、あごを上げてゆっくりと息をしたぼくはごめんなさいと言う。

「気にしてはおりませんよ。さて、かわいいお顔を見せてくださいませ」

両手をほっぺたに当てられて、右へとひっぱられる。

オレンジ色のまえの髪のまんなかがちょんまげをおさえたような感じで目と口が三日月になっている顔が見えた。

なによりインショウにのこったのは口の左の方にある大きいほくろ。

まひるさんはあごの右の方にあったなとおもいだす。

 「お初にお目にかかります。やつがれの名は朝日夜彦(あさひやひこ)と申します……以後、お見知り置きを」

おとな……やひこさんにあたまを下げられたから、ぼくも同じようにする。

「そんなに畏まらくてもよろしいのでございますよ。タメ口と呼び捨てが心地よいのでございます」

「えっ、でも……」

今までケイゴでしか話したことがないから、とまどうぼく。

「じゃあ、まひるにいちゃんっていうてみ?」

変わらないまひるさんはかるく言う。

「あひるにいちゃん」

かんじゃったぼくにだれがあひるやねんと言って本物みたいなモノマネをするまひるさん。

「3文字+にいちゃんはうまくいえへんねや……せやからよびすてな?」

おとなみたいに笑ったまひるさんはまたペチャペチャとなめはじめた。

「グワークワッ、クエー!」

「たいこうすんなや」

やひこさんのモノマネにつっこんだものの、クククッと笑った。

「やつがれは蔑まれたいのでございます」

またやひこさんの方を見ると、ほっぺたをテカテカと光らせて笑っていた。

「貴方様に虐げられたら興奮いたします」

うふふと笑うやひこさんにぼくは変な人だとおもったんだ。

続き

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