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九月のお節介が君の背中を押して。

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短編小説をまとめた一つの作品です。完結済。
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#小説

一月は駅前のピアノ前で。(短編)

 「カラアゲ!」  目の前の野暮ったい服装をした男が苛立ちを隠さずに大きな声で言ってきた…

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十二月はアルバイト先のおとぎ話で。(短編)

 「十二月なのに『小春日和』だなんて、季節外れで変なかんじするよね」  テレビの歌番組で…

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十一月はデビュー前のレッスン室で。後編(短編)

 疲れた。最近は、部屋に帰ってくるとそのまま座り込んで、ぼーっとしてしまう。着替えたり、…

4

十一月はデビュー前のレッスン室で。前編(短編)

 「センターは‥‥清井桜子」  プロデューサーから12月にリリースされる新曲のフォーメー…

3

九月のお節介が君の背中を押して。(短編)

 ”夏休み明けは注意が必要だ”。  学生が学校に来なくなることがあるからだ。  学校生活に…

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君が迎えに来た八月はもう来ない。(短編)

”あったらしい朝が来た! 希望の朝だ!”  山の中に響くラジオ体操の音源で目が覚めてしま…

6

七月の学校は「席替え」で終わる。(短編)

 「最悪だ」と思った。高校生になってはじめての一学期が、今日終わるのだ。  入学してからの三ヶ月間はあっという間に過ぎていった。  今思えば最初が肝心だった。  中学に入学した時は、みんなと仲良くなれるよう笑顔でクラスメイトに接するように心がけていた。しかしそれが裏目に出た。最初の音楽の授業で担当の先生に一人ずつ自己紹介するよう促され、自分の番が来た時だった。クラスの男子から「"笑顔君"、笑って!」と声が上がった。その一言に周りのクラスメイトたちが笑った。僕のことを笑ったのだ