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そして新たなステージへ【わたしの読書道④〜30代以降〜】
『Web本の雑誌』の連載『作家の読書道』を読むのが好きです。
そこでふと自分の読書遍歴をまとめてみたくなり、『わたしの読書道』と称して幼少期〜思春期〜20代を経て、今回は30代〜現在に至るまでを紹介します。
30代はまるっとライフステージが変わったので、じっくり読書を楽しむというより、「確実にアタリだろう」と見極めてから読み始めるようになりました。ちょっとさみしい。あとはスマホ導入も要因になっているかも。
しかし40代に入り、ずっと避けてきた電子書籍に手を出してみると、なんと快適なことか! kindle unlimitedのおかげで新しい本との出会いも広がったし、これからますます精力的に読書を楽しもうと思います。あとは老眼との戦い……。
『肝、焼ける』(朝倉かすみ 著)
30代に入ってからの収穫といえば、やっぱり朝倉かすみ作品との出会いです。はじめて読んだときは、軽妙で唯一無二な言葉選びのセンスに舌を巻きました。今のところ全作品読んでいますが、『肝、焼ける』はタイトルの秀逸さ、疾走感あふれるストーリーなど、一瞬で心をつかまれた印象深い作品です。朝倉作品はいつも読後感がいい。
『恋に焦がれて吉田の上京』(朝倉かすみ 著)
本当にいいタイトルですよね。文庫版では『恋に焦がれて吉田の上京』となっていますが、これは改変後。改変前の『とうへんぼくで、ばかったれ』だって、もう最高。ストーカー女と冴えない中年男の恋愛(未満?)がテンポ良い文章で綴られています。才能あふれる表現力と粋な言葉のチョイスがたまらない一冊。
『64』(横山秀夫 著)
子どもが小さかった時期に手に取り、最初は「こんなに長い小説、読み切れるかな」と不安だったのですが、そこはやっぱり横山秀夫。ぐいぐい引き込まれて、長さを一切感じぬまま読了しました。これが自信になって、出産後再び厚めの本を読むことができるようになりました。感謝しかありません。
『困ってるひと』(大野更紗 著)
辛く苦しい闘病記のイメージが一変する一冊。原因不明の難病、それも複数……。普通なら絶望しそうだけど、著者の大野さんは当時大学院生ながら明るく、ユーモアを忘れずに戦い続ける。このあたりから、自分自身が読む本の中に「わが子に読んでほしい本」というジャンルができました。
『通い猫アルフィーの奇跡』(レイチェル・ウェルズ 著)
アルフィー(シリーズ)との出会いは、わたしにとって本当に宝物のようなもの。それくらいこれからも大切にしたい物語です。書店で平積みされていて、表紙のかわいいイラストが目に留まり手に取ったのがきっかけですが、今となっては運命に導かれたとしか思えません。登場人物(猫含む)はみんな魅力的で、あたたかい物語の中にも過酷な現実が盛り込まれていて、人間世界も猫の世界も辛いことや悲しいこと、そして大きな幸せに満ちていると感じられる珠玉のシリーズです。
『その女アレックス』(ピエール・ルメートル 著)
散々話題になって、今さらといった感じですが……。やっぱり面白い。ぐいぐい引き込まれて、途中から「え?」「え??」とパニック状態に。その後カミーユ警部のシリーズは全部読みましたが、やっぱり『その女アレックス』がずば抜けて面白いですね。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万里 著)
kindle unlimitedに加入しなければ読むことがなかったかもしれない米原万里。こんなに面白いならもっと早く読んでおけば……! 心からそう思ったのでした。今はコツコツ著作を集めています。独特な視点で語られる物語も、文章の切れ味も、すべての要素で「今の」わたしの心にヒットしました。エッセイも秀逸。
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本を読んで心を動かされても、自分の中で留めておくだけではいつの間にか忘れてしまいそうで、こうやって文章に残すことにしました。本当はリアルで誰かと話すほうがいいのかもしれないけど。