いのちの食べ物
あなたの一番好きな食べ物は何ですか?
忘れられない思い出の食べ物はありますか?
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私には「これを食べれば元気になる」という食べ物が2つある。
「好き」という言葉では表現できないくらい大事な食べ物。
その食べ物と最初に出会ったのは子供の頃だけど、それが私にとって「いのちの食べ物」だと知ったのは、遠い異国の地だった。
ハネムーンで訪れていた、タヒチ・ボラボラ島。
出国前、私は咳と微熱に苦しんでいた。出発直前になってようやく回復したのだけれど、現地のホテルに到着した途端、また熱を出してしまった。
翌日は朝からモツピクニックとシュノーケリングの予定を入れていた。夫はベッドで唸る私を見て、「明日はキャンセルしよう」と。
カラダは重いし、熱で汗だくでキツかったけど、せっかくのハネムーンで、しかも長年夢見ていたボラボラ島に来ているのだ。限りある大事な時間を寝て過ごすなんて耐えられない。
翌朝、まだ熱っぽいカラダを起こすと、夫が私に尋ねた。
「ここに置いてあるフルーツ、食べる?」
大きな白いお皿の上に山盛りのフルーツ。グレープフルーツ、オレンジ、パイン、キウイ、グレープ、そして、スイカ。
カラフルなフルーツの中で私の目が留まったのは、スイカだった。
「スイカ食べる」
私は一心不乱にスイカを頬張った。
「他のも食べな」という夫の言葉に
「ううん、スイカしか食べたくない」と。
すると、不思議なことが起こった。
自分のカラダの中にこもっていた熱が、首の後ろあたりからスーっと引いていったのだ。まるで悪霊がカラダから抜けていくような感じ。
「なんだか、スイカ食べたら治っちゃったみたい」
ハッキリ自覚できる体調の回復。雷雨の後にパアっと晴れ間が広がるような清々しい感覚。
夫も私の顔色を見て、回復しているのが分かったようだ。
スイカを食べてたったの15分で、私は奇跡の回復を遂げた。
その日は一日中、海に潜って泳いで、元気に過ごすことができた。本当に不思議な体験だった。
以来、私にとってスイカは「いのちの食べ物」。
体調を崩すと身体がスイカを求める。ただ、夏にしか手に入らないのが難点。そうか。だから私、冬が苦手なのね。
スイカは私の「いのちの食べ物」に認定。
そして、もうひとつ、大事な食べ物がある。
これを食べれば、元気になる。
これを食べれば、ご機嫌が直る。
これを食べれば、笑顔になる。
それは、ソフトクリーム。
私の心を癒してくれる「ココロの食べ物」だ。
アイスクリームにも色々あるけれど、私の「ココロの食べ物」は、バニラのソフトクリームと決まっている。
特におへそが真横にいっちゃってる時なんかは、間違いなくバニラ。
あと、カップではダメ。コーン一択。ソフトとコーンのハーモニーが美味しいんだから。
「ムカつくー!」
「腹立つー!」
「やってらんねー!」
って時、ソフトクリームをパクっと頬張ると、途端に笑顔が戻ってくる。
人間なんて単純な生き物。(私だけ? 笑)
美味しいものを食べたら、どうしたって幸せな気分になれる。
スイカとソフトクリーム。
「いのちの食べ物」と「ココロの食べ物」。
そして、どんな食べ物にも常に感謝したい。
私たちは、食べ物によって生かされているのだから。
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