*醤油あるある?! 納豆になった醤油麹
2014年に初めて醤油混みWSに参加した。
翌年自分で醤油麹から仕込んでみようと挑戦し始めた。
1回目は2月の終わりで、仕込んだ麹は品温も35℃前後を保ち、
うまく麹がうぐいす色にったので、塩と水で醤油を仕込んだ。
2回目は3月に入ってから仕込んだが、こちらはうまく品温が上がらす、
黄色いまま発酵が進まない成りくさしの麹にしかならなかった。
しょうがないのでそのまま醤油を仕込んだ。
しかしその後も発酵もせず、腐りもしない訳の分からない液体のまま
なんの変化もしなかった。
私が醤油を仕込み始めたと聞いた友人が、今神戸で醤油の映画をやっていて、おもしろかったと教えてくれた。
その映画は「千年の一滴・だし、醤油」という映画で、ネットで調べてみると明日まで、となっていたので見に行くことにした。
内容は、日本人が千年の時をかけて醤油を作っていく中で、醤油麹菌が突然変異を繰り返し、そして、日本人が選別し続けた結果、アスペリギルスオリゼというとても強くて美味しい醤油を作る菌に変化していった。
そしてそのオリゼはニホンコウジカビといって、日本にしか存在しないという話だった。
稲に付くアスペルギルスオリゼは、今では「病気」とされ、農薬をまかれるため、ほとんど見られなくなってしまった。
昔の日本人は、その稲に付く黒いカビの塊を稲霊(イナダマ)といい、その菌を使って醤油麹を仕込んでいたのだ。
お酒を造っている寺田本家も、その米に付いたオリゼを蒸した米に振りかけ米麹を仕込んでいた。
そして、京都のお醤油屋さんは、「枯れ木に花を咲かせましょう~」と言いながら、蒸した大豆と麦にオリゼを振りかけながら、
「醤油麹を仕込むのに適しているのは桜の花が咲く頃」と言った。
それを聞いた私は、ならばもう一度、と4月に入ってすぐに再度仕込むことにした。
ところが、4月の気温は20度前後。にもかかわらず、2月、3月に仕込んだ時同様に保温した醤油麹の品温はガンガン上がり、40度を超えてくる。あわてて保温の温度を下げても40度をゆうに超えるのだ。
醤油麹菌は40度を超えると死んでしまうと調べて知っていたので
慌て、焦り、ついには保温を辞めたがそれでも麹は40度を下回らなかった。
翌日、醤油麹はアンモニア臭を放ち、糸を引いていた。
納豆になったのだ。
気温が20度にもなってくると、保温どころか冷やすくらいにしないといけないなんて、初心者の私には想像もできなかった。
麹作りは保温するもの、と思い込んでいたのだ。
米糀菌とは違って、醤油麹菌は本当に40度を超えると死滅していくのだ、と知った。
大量の納豆を前に、失敗した、と落ち込むべきなのか、
学びになったと喜ぶべきなのか、少々複雑な体験であった。
ちなみに大豆は雑菌も好んで付きやすく、腐敗の危険性もある。
素人判断で過度に保温してはいけないことは後から知ったことだった。
みなさまも、お気をつけて。