コンセプトの理由。 〜「いただきます」を世界共通語へ。〜
家畜写真家になったのは紛れもなく、ニュージーランドで経験した多くのことがきっかけです。
でも、その中でも1番印象深く残っている出来事があります。
当時の私は、まだ興味本位で畜産業界に片足を突っ込んだ少女。
そんな私が牛のために泣くなんて想像もしていなかった。
こんなにも心に残るなんて、予想もしていなかった。
私が家畜写真家として『「いただきます」を世界共通語へ』というコンセプトを持った1番の理由、それが以下の出来事です。
当時の出来事
牛さんたちに今日も異常がないか、赤ちゃんが生まれていないかを確認をしに丘の上の放牧地まで私たちが行くと、そこには1頭の子牛が生まれていました。
彼女はおそらく、前の夜に生まれていたのでしょう。
気温も低い雨の中、早産で体も小さく、お母さんはどこかへ行ってしまい一人ぼっちで動けずにいました。
私たちが見つけた頃にはとても衰弱していました。
でも、彼女はまだしっかりと生きていました。
私は、彼女が寒そうにしていたので、腕でしっかりと抱いて温めていました。
少しすれば、元気になってくれるだろうと思っていたからです。
ニュージーランドでは、動物に助かる見込みがないと判断された時、できるだけ早く天国へ送ってあげなければなりません。
「助からないのに生かしておくと、その子は死ぬまで苦しまないといけないから。」
という動物福祉の考え方が理由です。
この理由によりオーナーの判断で、その子は発見から1時間足らずにもかかわらず射殺されることになりました。
確かに、彼女は私の腕の中で必死に生きていました。
当時の私には受け入れられませんでした。
私は、オーナーに「彼女を生かしておくことはできないのか」と何度も尋ねましたが、判断が変わることはありませんでした。
その後微かに銃声の音が聞こえ、しばらくの間涙が止まりませんでした。
彼女はお母さんから大切な「いのち」をもらって、必死に生きていました。
私は救ってあげたかった。
正解はわかりません。産業動物の難しさを感じました。
「いのち」の大切さを教えてくれてありがとう。
たった数時間の「いのち」だったけれど、彼女は私にたくさんのことを教えてくれました。
天国でお幸せに。
終わりに
これを読んで何を考えますか?
人それぞれだと思います。
私は自分なりに考えた結果、私の体験談を発信することにしました。
だから、「いただきます」を世界共通語へというコンセプトのもと、家畜写真家として活動しています。
●カチク写真展 〜いただきますを世界共通語へ〜
日程:2019.04.20 〜2019.05.11
時間:9:00〜23:00
料金:Free
場所:札幌市中央区南2条西5丁目26−4 CONTACT内(大通駅徒歩6分)
●カチク写真展 〜Special Talk Live〜
日程:2019.05.11
時間:13:30〜15:30
料金:¥800(1ドリンク付き) ※中学生以下Free(ドリンク別途)