野良ジョーンズと地球外生命体
朝起きたら、紺色のマーメイドドレスを着て、
キメまくっている母が突っ立ていて、
「今、行くところだけど一緒にくる?」
と、聞かれた。
行きたいと思ったけれども、
「2日も髪を洗っていないから、
先にシャワー浴びないといけないから遠慮する」
と、断った。
一緒に行きたかったなぁと後悔しながら、
シャワーを浴びに行こうとしていたら...
凄まじいアラーム音が鳴って、
目が覚めた。
夢だった。笑
私は、あの世に招待される時も、
「すみません、シャワー浴びてからでいいですか?」
とか、言うのだろうかとか、
特にこの人生悔いなしだが、
心と身なりはいつでも整えておかなければとか思いながら、
入念にシャワーを浴びていたら…
20分ぐらい入っていたつもりが45分以上入っていたようで...
メガネをかけて時計を見た頃には、
誰かに時計を巻き戻していただきたい状況であった
本日は、大学病院の定期検査の日で
絶対に遅れてはいけない
…はずだった
本当にすみませんと思いながら、
平日の朝は常時、数百人の人々が無言の大行進をしている、
渋谷駅の井の頭線から銀座線乗り換えの長〜い通路を、
忍者のごとく、隙間を通り抜けさせていただき、
何とか虎の門駅に着けたものの、
何回も行っているのに出口を間違えて、
見たことのない地上に出てしまい、
Google Mapの青いボールと一緒に道に迷い、
到着してからも、大学病院の院内で迷い、、
やっとこさで、受付にたどり着いた時には、
15分前に来てくださいと言われていたのに、予約時間から15分以上過ぎており、、、
今、ジャングルから生還してきた人みたいな状態で、
ともかく急いで服を脱いでロッカーに投げ込み、
慌てて着た検査着の紐の結び方がわからず、
仕方がないから、手で押さえて移動した(汗)
MRI検査の白いドームの機械に寝かされてから、
色々と検査のご説明いただいたけれども、
全く、耳に入らず...
"私が遅れたせいで、実は、この人たち、今まで、この部屋で沈黙して待っていたらどうしよう…!???"
という申し訳なさで、頭がぐるぐるしていて(これから頭の検査をするのに)、
かろうじて、
「...何かご不明な点ありますか?」
と、聴こえたので、
「今日は、遅くなってすみませんでした><」
と、とりあえず謝った
そしたら、意外にも
「全然、大丈夫ですよ〜!(笑顔)」
とのことだった
大前提として遅刻は大罪だが、どうやら、他の人を繰り上げて対応してくださっていたようである。
心底、良かったと思った
しかし良かったと思って我に帰った時には既に、
頭をガチガチに固定されて、MRIのドームの中に閉じ込められていた
一度MRI検査を受けたことがある方なら、ご存知かもしれないが、
MRIは強い磁石と電波で体の中身をあらゆる角度から画像撮影できる機械だそうで、
素晴らしい技術だと思うけれども、
検査中は、まるで耳元で誰かがマンション建築工事をしているような、
ガタガタ、ガンガン、カンカンという
凄まじい機械音が鳴り響く
動いちゃダメなので、台に固定されて、
(頭を重点的に撮影される場合は、)
頭もガッチリ固定される
言うまでもなく、多くの人にとって快適なものではないため、
具合が悪くなる人もいるらしく、
病院によっては、
癒し系の画像がドームの天井に表示されたり、
ヘッドフォンで癒し系ミュージックを聴かせてくださる(もちろん機械音の方が圧倒的に勝るのだが)
歌詞のない、オルゴールみたいな音楽が流れるパターンは経験したことがあるが、
なぜか本日は、機械音に紛れて、
Nora Jones (ノラ・ジョーンズ)の 『Don't know why』が流れていた
" I don't know why カンカンカンカン come 〜♪ "
" I don't know キーキー、ゴンゴン! come 〜♪ "
これは、何かのギャグですか?、と思った
ノラ・ジョーンズの美声が、
歌のサビの、ちょうどいいところで、機械音で打ち消されるのだ
確かに、緊張がほぐれて癒しの効果があった
一体どうして、平日の真っ昼間に、白いドームの中で、こんなことに、なっているのか?
ことの始まりは、2年前、
頭痛、目の奥が痛い、手が痺れる…などなど、困ったことが色々起きて、
リモートワーク疲れかなと思っていたけれども、
念のため人間ドックのオプションで、脳ドックMRIというのがあったので、
お試し程度に、受けてみたのである
後日、自宅に送付されてきた結果表に、
「疑いの段階で、経過観察ですが、詳しく聞きたかったら来てください」
という、かなり曖昧な案内文が入っていて、聞きに行ってみた
「経過観察」なら何も心配することはないだろうと、
週末のお出かけついでのつもりだった
おじちゃん先生が座っていて、
ざーっと早口で、ざっくり説明され、
「まぁ30代では珍しいけど、日本ではよくある疾患だから」
と、"気にすることないよ"って言われたのだと理解し、
「そうですか!安心しました。じゃぁ、経過を観察しますね。ありがとうございました〜」
と、朝顔の観察日記でもつけときますね的なノリで、
早く新宿で映画を観たくて、そそくさ帰ろうとした…
すると、さっきまで、道でばったり会った近所のおじちゃん的なノリだった医師が突然、熱血教師に変身した
「いやいや、ちょっと!下手したら死ぬ可能性もある、もっと重い話をしているの。ちゃんとしたところで検査受けた方がいいって話しているの」
と、引き留められ…
1回目のご説明では言葉を選んでくれていたのだろうけど、
2回目のご説明は、
「脳の中に風船がある疑いがあって、それが大きくなって破裂して、処置が遅かったら、高確率で、死ぬか、麻痺が残るから、ちゃんとしたところで診てもらった方がいい」
とのことだった…orz
その後、映画を観に行けたのかは覚えていないけれども、
急遽、専門の脳神経外科がある大学病院を探すことになり、
インターネットで調べても、全くよくわからず、
知人がおすすめしてくれた大学病院で検査を受けることになった
結果、疑いではなくて、
本当に、脳内ですくすく育ってしまった風船があることがわかった
数年前に、駅の階段で頭から落ちた時のMRI画像データを提出してみたものの、その事故とは全く関係ないそうで、原因もわからないということだった
いつ、どのような速度で風船が大きくなるかわからない
小さくするための薬はないし、小さくならない
手術もリスクがあるから、もっと大きくなるまでできない
でも大きくなったかは目では見えないし気づきにくい
心配しすぎは無用だけど、100%大丈夫でもない
今だに原因不明で研究中の領域だから、わからない
…. 何を聞いても、歯切れの悪い回答のオンパレードで(お医者さんは全く悪くなく、事実だけを教えてくれたのだと思う)
なんてこったー!と最初は思った
ならば自力で、と、無駄にリサーチャーパワーを発揮して、
医療関係者の知人の力もお借りし、
破裂した時の死亡率、手術の方法、成功率、
手とか身体に麻痺が残る可能性、
片っ端から調べてみたもの、
肝心のデータが、発表している医療機関の計測方法などによって、ずいぶん違っていて
結局、その人が持っている遺伝の特徴とか、体質とか、他の持病とか、個々のケースによって千差万別ということもよくわかり、
風船が、そのまま大きくならず、おばあちゃんまで健康に生きて老衰で亡くなる人も多くいるということもわかった
一方、目に見えないため、いつ風船が大きくなって破裂するか、心配で心配で、うつ病になる人がいるということは、大変参考になった。
そのために、QOL(Quolity of life生活の質)を担保するために、リスクの高い状況で手術を選ぶ人もいるということもわかった。
色々と悩んで、各方面の医師とも相談し、
ひとまず風船対策として、
「お酒、激しい運動、ダンベルを持つなど力入れ過ぎる動き、ストレス過多な生活を控える」&定期的にMRIで脳内パトロールをすることになったのである
おかげで、風船の成長チェックのために、毎回、詳細な脳の記念撮影をしていただけるので、認知症はじめ他の脳内疾患がないかも見てくださり、
めでたく?、今のところ、私の物忘れは、ただの性格の問題だと証明されている(笑)
確かに、最初は、自分の頭の中に地球外生命体が勝手に不法滞在しているかのような居心地の悪さは感じたけれども、
最近は、頭の中に住んでいる住人のおかげで、
昔より遥かに健康的な生活を送っているような気がしている!!
(気がしているだけかもしれないがw)
そんなわけで、今回の検査でも、
頭の中の住人は、特に大きくも小さくもなっていないことが確認され、
サバサバしたフレンドリーな先生と、
アート作品か、植物の毛細血管の拡大図にしか見えない
右脳と左脳の断面図、脳の血管の画像をモニターで見ながら、
脳に関する有意義な雑談をして帰ってきた
良い1日だった
健康第一、
皆さんの健康を心から祈っています
2024.11.14 vol.2
P.s
本日の一枚(この記事のサムネイル)は、帰宅して、この記事を書いていたら、「ノラ・ジョーンズ」 と書きたいのに、何回も、「野良ジョーンズ」と変換されるので、
(本物のノラ・ジョーンズは嫌がるかもしれないけれども)野良ジョーンズっていう野良猫がいたらいいなという妄想が止まらず、描いてみた。
ちなみに、ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)の美声を聴いたことがない方は、ご本人のYoutube公式チェンネルから聴けるようです↓