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絵本 de 昔話『猿の尾はなぜ短い』

作画:茜町春彦
原作:柳田国男


昔の昔の大昔、猿の尻尾は33尋あったそうです.

それが熊のために騙されて、あのような短い尻尾になってしまいました.

或時、猿は熊のうちへ訪ねて行って、どうすれば沢山の川の魚を、捕ることが出来るだろうかと相談しました.

そうすると熊が言うには、今晩のような寒い晩に、どこか深い淵の上の岩に坐って、その尻尾を水の中へ漬けて置いてごらん.きっと色々な雑魚が来てくっつくからと教えてくれました.


猿は大喜びで教えてもらった通りにして待っていますと、夜が更けて行くうちに、段々と尻尾が重くなりました.

それは氷が張って来たのでしたが、お猿は雑魚が来てくっついたのだと思っていました.


もう是くらい捕れたら十分だ.

あんまり冷たいから還りましょうと思って、尻尾を引き上げようとしたけれどもなんとしても抜けません.

これは大変だと大騒ぎをして、無理に引張ったところが、其尻尾が根元からぷっつりと切れました.


猿の顔の真赤なのも、その時あまりに力を籠めて引張った為だと言っている人があります.

(出雲)

参考文献:日本の昔話(2006年10月25日36刷 柳田国男著 新潮文庫)
使用画材:ArtRage 3 Studio Pro(アンビエント社)Photoshop Elements 10(アドビシステムズ株式会社)
初出:パブー(2013年5月)
パブー投稿作品を修正して移植しました.

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