AI搭載エディタCursorのComposer機能を活用したRPG、SRPG創作術
〜3月20日 03:30
はじめに
創作活動において、アイデアを形にする過程は常に大きな課題です。
特にRPG,SRPGのような複雑な物語構造を持つ作品では、キャラクター、世界観、シナリオの整合性など、考慮すべき要素が多岐にわたります。
RPGツクール各種など、創作に関するツールにより、手段は増え、いざ着手してみればそれでもやる事は大量
絵は作った、プログラムを作った・・・しかし、中々シナリオは後回しに。
欲しいのは、シナリオ…そう思った事はありませんか
しかし昨今のAI技術を活用することで、このシナリオ作成の部分の手助けを出来ればと思います。
下記については勿論、各々の思い描く設定をご用意ください。
・物語の世界観設定、ざっくりとした物語の方向性
・キャラクター設定
・キャラクター間の関係性
もちろん、全てが決まっていなくても全然問題ありません。
AIと対話しながら調整し、足りないピースを埋めていく事になります。
その中で思いつくアイデアもあるかもしれません。
ここまでの内容自体は、既存のAIサービス(chatGPT,claude,geminiなど)で十分作る事が出来ます。
既に使っているという事であれば、より踏み込んだ事が出来るようになります
★既存のAIサービスで創作サービス支援するものと何が違うか?
自分のPC内のファイルにAIがアクセスし、ファイル単位に複数出力、編集してくれる点につきます!
また、AIの進化も早く、AIモデルの進化にすぐに対応出来る点が大きい
ところでテキストエディタを利用した事はありますか
業務で利用した事がある、という人は多いと思います。
・サクラエディタ
・秀丸
メモ帳で済ませている人もいるかもしれません。
本記事では、特にCursorというAI搭載エディタを活用した、シナリオ作成の手法についてお伝えしていきます。
Visual studioを使った事がある方であればUIは馴染み深いものとなります。
イメージでいえば、既存の画面にAIチャット部分が追加されたものとなります。(Ctrl + L)


では、それがどういう意味があるのかをお伝えします。
上記画面右上にCHAT,COMPOSERというタブが見えますね
CHATはイメージしやすいと思います。
CHATのAIの返答で全て返してくれます。
本記事ではCOMPOSERについて取り扱います。
COMPOSERではAIがファイル編集したり新しいコードを編集したり、新しいファイルを生成します。
さて、複数のファイルをタブで管理し編集出来るのがテキストエディタ
従来の使い方ですが
Cursorの独自性は下記の通りです:
ローカルでのファイル管理と連携(AIが参照する事により、より構造的な管理が可能)
COMPOSERによるAIの複数ファイルの同時参照
プロジェクト全体を理解した上でのAIからの提案
コードと文章の両方に対応
無料で高性能なAI機能
特にRPGやSRPG創作において重要な点:
複数の世界観やストーリー設定ファイルの整合性確認
キャラクター情報の一貫性管理
章立ての管理と参照
伏線の配置と回収の管理
この複数ファイルをAIに参照させながら全体を意識して文章を生成、修正させる動作こそ重要で、一貫性を持たせて創造性をも持たせる事が出来ます
フォルダを指定する事でその配下のファイルの内容を参照させることができます!
なお、Cursorのインストール方法や
Cursorの料金プラン等については割愛します。
既にAIサービスのAPIキーを取得出来ている状況であれば、Cursorでも利用する事が可能です。
無論、無料のAIモデルも搭載されているため、AIの性能を問わないのであれば無料での利用も視野に入ります。
■前提作業
・cursorのインストール
・使いたいAIモデルのAPIkeyの発行(必要であれば)
1-1. Cursorの 基本的な使い方
新規ファイルの作成:Ctrl + N
AIとの対話:Ctrl + K
コマンドパレット:Ctrl + Shift + P
AIチャット :Ctrl + L(本記事では、cursor COMPOSERを活用した例を記述します)
1-2. Cursorの設定
Cursorの設定
cursorの設定画面です。
設定画面左に以下メニューがあります。
・General
・Models
・Featurs
・Beta

特に重要な部分のみ設定していきましょう
私の設定をそのままお見せします
細かい設定に関しての説明は割愛します。
プログラムで使う場合は、各設定の内容をご理解の上実施してください。
■Generalタブ
cursorの設定で「プライバシーモード」を有効にしておきます。
(Privacy modeをenabledに設定)
この設定を行う事により、コードは第三者によって保存されません
(OpenAIに送信するプロンプトは30日間保持されます)
AI for rulesの設定
Generalタブに存在しますが、本設定については本記事の根幹に関わる部分のため有料記事側で設定を公開いたします。
■Models
各モデルにチェックを入れる事で、chatやcomposerでAIモデルを指定してやり取りができます。
追加する事も出来るので、次世代モデルにも対応出来ます
(cursor側が度々バージョンアップデートされる際に自動でこの一覧に追加される事もあるので、気になるAIモデルの動向は追っておきましょう)
個人的に、claude-3.5 sonnetのモデルは創作と非常に相性がよかったです。
プログラム分野においても、よく利用しています。
今後、claude4以降の次世代モデルにも期待しています。


■Features




■Beta

cursor設定はここまで。
Rules for AIは別途
2.AIへの指示
次にAIに次の事を指定します。
前提:
1.ワークスペースをPCの任意のパスで指定
AIに絶対パスを教え、どこをワークスペース(作業フォルダ)とするか伝えてください。
AIに出力、編集させる作業場所として指定します。
2.どのファイルを見て欲しいか、どのような流れとするかをrulesで指定する。参照させる条件など。ここは常にAIに適用させる部分なので、汎用的な内容を記述します。
上記が整理されている状況を作成したら、以下の流れを繰り返します。
1.AIに提案させる
(~というシチュエーションで、~のキャラクターが~という行動をする想定の話を複数提示してください、等)
2.AIに修正させる
3.修正内容を適用する部分をユーザーが選別する。(修正の一部あるいは全て)
必要に応じてrulesを更新し、望んだ出力をしやすいようにトライ&エラーを繰り返します。
3.参照するファイルについて
常に参照してほしい設定は以下のものが創作では考えられます。
3-1.ストーリーの流れにおけるファイル
・全何章であるか、何部作であるか、それぞれのテーマは何か、どんな会話シーンが入っていて欲しいか
・各章の概要レベルの切り口やシチュエーション、登場する味方や敵キャラクター
・~章の章の名称は何である、等
例)
第一部:「覚醒と選択の始まり」(1章~8章)
テーマ: アフマール族の遺産と自由への目覚め
序章:「運命の夜」
ストーリー詳細
悲劇の始まり
アフマール族の集落への襲撃
14歳の主人公の逃亡
ディグリスによる救出
混沌の中で
炎上する集落
散り散りになる生存者たち
帝国の追跡部隊による徹底的な追跡
力の目覚め
初めての能力の発現
混乱と恐怖の中での覚醒
1章:「目覚め」
ストーリー詳細
オープニング
帝国による追跡から3年、主人公は力の使い方を少しずつ習得
小さな村で潜伏生活を送る
不安定な能力に悩まされる日々
登場人物
幼い主人公(14歳)
突如として目覚めた力に戸惑う
家族や仲間との別れ
生存本能と逃走
伏線:~という謎の存在と出会うが、詳細はよくわからない
ーーー以降、章単位の区切りで概要の記載が続く
これらを基盤としてAIに提案させるようにします。
仮名として、全体構成ファイル とします。
rulesにはこのファイルをたたき台として詳細を展開するように記述します。
無論、この全体構成ファイル をどのようにするかを自分で作ってもよいし
AIと相談しながら完成させてOKです。
3-2.キャラクターの詳細設定ファイル
例えば以下のようなフォーマットで整理されている事。
細かければ細かい程AIも設定に従った提案をしやすいです。
名前:キャラ1
年齢:22
身分:平民
性格:明るいが時々見せる闇がある
特徴:口癖や一人称や二人称
背景:どんな過去があり、どんな友人がいるか等
名前:キャラ2…
3-3.ストーリーにおける細かい設定
どの国の歴史はどのような過去がある
どのような宗教や習慣がある…等
概要レベルで書ききれないようなレベルのものはファイルを分けた方が
1ファイルあたりの容量が大きくならないので◎です。
1ファイルが長すぎると一回でAIに読ませる事が出来ない動作もありえます。
設定を無視するようなことがあれば、どのファイルを見た上で再考してほしい旨、命令していきましょう。
まずは、全体の流れとしてのファイル(既に自分自身の中で存在すれば、それを参照させる)を基盤とし、未完成であればそれまでの流れを継承してAIと共にどのような結末にするか、物語の背景がどのようなものがあるかなど、概要レベルの全体の流れを完成させましょう。
その上で、各キャラクター、各章レベルに落とし込んでいき
詳細の会話レベルにまで落とし込む
気に入らない流れならば何回でもAIと調整する事となります。
■AI提案のAcceptとReject
AIがCOMPOSERタブで回答し、左側のファイルを編集しています。
緑背景は新しく修正する内容で、Acceptをクリックすると赤背景の内容が消えます。Rejectすると、赤背景の行の内容に戻ります。
これが修正行単位で適用するかしないかをユーザーが選択出来ます。
勿論、Ctrl+Cで動作を戻す事も可能です。
バージョン管理も可能ですが、不安であればバックアップは別途管理しましょう。

4.プロンプトについて
4-1.基本的なプロンプトの書き方
/ AIへの指示例--------------------------------------------
「主人公の若い騎士と、その師匠である年配の騎士との、
剣術の稽古後の会話シーンを作成してください。
師匠は厳しくも温かい性格で、弟子の成長を喜んでいます。」
--------------------------------------------------------------
良いプロンプトには以下の要素が含まれています:
場面設定
登場人物の関係性
キャラクターの性格
シーンの目的
--------------------------------------------------------------
上記は会話レベル、シチュエーションでの指示例でした。
以下は具体的な命令の例です。
/ AIへの指示例--------------------------------------------
「全体構成ファイルを確認の上、7章の内容を複数提案してください。
~章までの流れに矛盾しないように、自然な流れとなるようにしてください。」
「~のキャラクターの話し方はもっと生意気で無知な感じの流れとなるように修正してください。」
「話し方がライトすぎるので戦記物特有の話し方となるような会話内容としてください。」
「あなたの編集で既存の会話が消されてしまいました。既存の流れを活かすようにして修正をお願いします。」
「キャラクター設定の内容と異なるので、内容を遵守した上での会話となるように徹底してください。」
「~というキャラクターの外伝の位置づけの章が欲しいです。適切な内容を複数提案してください。さらに、本編の章の何章あたりに挿入した方がよいですか、話の流れで不自然にならない様なタイミングを提案してください。」
「~というシチュエーションの章が欲しいです、どんな話なら自然にストーリーに組み込ませますか、具体的な案を複数提示してください。」
「市街戦を想定して、敵軍が迫ってくる直前の作戦会議から記述します。
具体的な作戦の話を取り入れてください。
敵の襲撃に対してどんな作戦を立てるか、登場人物の~を使って会話に入れてください。」
--------------------------------------------------------------
上記のように、指示は具体的であればあるほどよいです。
以下は、私のRules of AIの設定です。
本設定があれば、より強力に命令に順守します。
細かい部分は、使い方によって都度調整してください。
ここから先は
2月18日 03:30 〜 3月20日 03:30
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?