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紅井りんご
2021年6月2日 15:15
※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。灰色の雨が降る日はいつか見た虹の色さえ思い出せない ♧青色の瓦の波間に蝶の影ブルーホールを思わせ泳ぐ ♣︎忘れもの置き場にピーターパンの影 こどもみたいな大人ばかりだ ♧大人でもジャングルジムを世界から隠れるための基地にしていた ♣︎真夜中のジャングルジムから見下ろしたあの頃よりも
2021年4月24日 11:34
※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣︎)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。屋上のタンクの影がつま先に届くのを待つ 帰りたくない ♣︎屋上でやきそばパンをかじっても川本真琴になれないあたし ♧「凄いだろ」やきそばパンの腹持ちを熱弁してる兄にただ「うん」 ♣︎推しの良さ熱弁すると早口になるし周りが見えなくなるし ♧一人では味わえなかった寂しさが早口な夜加速さ
2021年3月26日 18:06
※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。ぐらぐらと揺れる地面の上にいてわたしの心も揺れているのだ ♧君んちは花火大会の向こう側 小走りすれば金魚が揺れる ♣適切に管理されてる水槽の金魚みたいだ何処へも行けず ♧補助線を何処に引こうか猫に訊くあくびとあくび背伸びと背伸び ♣背伸びして文語短歌を詠んでから口語へ変える冷えた親
2021年2月25日 15:22
※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣︎)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。一面の綿毛を飛ばしそれだけを自分の意味とした通学路 ♣︎パン狩りのパンが一面になっていてトングカチカチ鳴らしたら朝 ♧この夜のこの部屋のこの灰皿に紙屑焼けば朝のよに燃ゆ ♣︎待つという感覚だけが隙間なく部屋を満たしてわたしをつつむ ♧脱衣籠ていねいに折り畳まれた青の浴衣がつつむ薄皮
2021年1月22日 14:45
※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。紅井りんご(♧)→昼行灯(♣︎)の順で詠みました。絡まったイヤホンコード丁寧にほどくみたいな愛が欲しくて ♧丁寧に引き千切ってくマーガレット一片ずつに媚び売りながら ♣一片の雪わたくしの頬で解け取り戻せないことのいくつか ♧さようなら取り戻せないこども舌リボン結びが下手な指先 ♣「指先が黄色いね」って蜜柑食べあなたと笑う並行世界
2020年12月17日 17:27
※文芸ユニット【午前0時】のいちごつみ短歌です。昼行灯(♣)→紅井りんご(♧)の順で詠みました。幸せに慣れたくないな コーヒーとココナツサブレ噛んで飲み込む ♣コーヒーをはじめて知った日の夜に眠れず描いた桃色の象 ♧柔らかく生まれたてより食べやすくされた桃缶85円 ♣「完璧な円はないよ」と言う君の少し歪んだパンケーキ待つ ♧桜咲き開かずのはずの踏切が開いたらまた完璧ぼっち ♣