全然宇宙に飛び立たないゴリゴリの宇宙SF

今回は僕が一番好きなSF小説を紹介します。SFの名作ランキングなどでよく上位に来るので知ってる人も多いかもしれません。『星を継ぐもの』です。

この作品、めちゃくちゃ名作でとても面白かったんですが、初めて読んだとき結構意外だったんですよね。「いや、いつまで地球におるんじゃい」と。

物語は月面で「宇宙服をまとった5万年前の人間の死体」が発見されるところから始まります。細かいストーリーは書きませんが、壮大な宇宙の謎を明らかにしていく、というような話です。設定上、地球外の惑星に行く技術もちゃんと確立されてる未来が舞台です。なので、普通どっかのタイミングで主人公たちも宇宙に行くと思うじゃないですか。でも主人公は一向に地球から動かない。ラストでやっと別の惑星に行きますが、物語の大半は地球で進行します。しかもほとんど研究室の中で。ミステリー界には事件現場に行かず、話を聞いただけで事件を解決する「安楽椅子探偵」というものがありますが、それに近いです。

逆に言うと、SFにとって本当に大切なものは別に宇宙に行って冒険することじゃないんだと気付かせてくれる小説でもあります。最も大切なのは「センス・オブ・ワンダー」なんだと。主人公はなかなか宇宙に飛び立ちませんが、それでいてSFとしてのアイデアの壮大さや、謎が解けていくワクワク感は抜群な、本当に素晴らしい作品です。

読んだことない人は一度読んでみると面白いと思います。それでは、また

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