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生活動作の支援

グループホームの支援は認知症に対する支援がメインではあるのですが、生活動作の支援が必要な方もいらっしゃいます。
入居の時点で歩いていた方も年月の経過と共にどうしても生活動作は低下してしまいます。
そこで、認知症グループホームでの生活動作の支援をお伝えしようと思います。

結論から言うと、認知症のケアでも生活動作のケアでも、基本的な考え方は同じで、
出来ないところは助けて、できる事は最大限に使えるようにする
と言う事に尽きます。

排泄介助についてのお話しです。
ホームに入居して8年になる方がいます。

最初は一人で歩いてトイレに行き一人で済ましていました。最初は陰部を自分で紙で拭いていました。紙がトイレに落ちているからわかるのです。

そのうち、拭けなくなりました。紙が落ちていなくなったからわかります。
こちらで拭くのかどうかは判断が難しい問題です。
本人が人に拭いて欲しいのか?
という権利の問題と、
職員がトイレに行ったのを確認する必要がでてくる
という介助の問題があるからです。
介助の問題は、確認するのが面倒臭いからではなく、
人の目が常に入る事になる
という自由を奪ってしまう可能性がある事を考えなければいけません。

そのうち、トイレに行けなくなりました。
トイレの場所がわからず辿り着けないのです。
そうなると、トイレに誘導する必要が出てきました。
ただ定期的に連れていけば良いという問題ではありません。
本人がトイレに行きたい時を知る必要があります。
そこで、立ち上がった事を排泄サインとする事にしました。
出ない時もありましたが、トイレに座るとちゃんと排泄されていました。
でも、立つ度にトイレに連れていかれるはちょっと忍びない気もしました。

そのうち、自分では立ち上がらなくなりました。筋肉が衰えてきたのだと思います。
立つ・歩くという機能は問題ないのですが、自分では歩かなくなりました。
そうなると、手引き歩行で移動のお手伝いをしなくてはいけません。歩かないともっと歩けなくなるからです。
立ち上がらなくなり排泄サインが読めなくなったので、定期的にトイレに連れていく事にしました。
歩き続ける事ができるように、トイレに行く事を歩く機会にしました。

ある日、
夜にベットから立ち上がって転んでしまいました。
大腿骨頸部骨折で人工骨頭を入れる事になってしまいました。
歩けるか、歩けないか位の時が危険なのです。
ただ、危険だからと歩かせない事はしません。
本人が歩けるのならば歩き続けるようにする事が本人の権利と考えるからです。
危険だから歩かせないのではなく、
日常的に歩く事で(手引き歩行でさえも)、歩いた時に転ばない筋力やバランスを維持できると考えています。
しかし、今回は転んで骨折してしまいました。
だけど、転んでもまた、
立てるなら立つ
歩けるなら歩ける
様に手助けすれば良いのです。

結果としては、転倒を機に歩けなくなってしまいました。
そこから、車いすでの移動となりました。
しかし、トイレに座るとちゃんと排泄されます。
そこで、トイレでは、立ち上がりの介助をし、手すりに捕まってもらい(ズボンの上げ下げは介助して)トイレでの排尿は継続しました。

そのうち、手すりで立位を保持する事ができなくなりました。
そうなると、2人介助で
一人は立位の介助を
もう一人はズボンの上げ下げを
手伝う事にしました。
尿も便もしっかりとトイレで排泄していました。

この2人介助の状態で4年行ってきました。
立位も最初はしっかりと取れていましたが、現在は脚が床に付いている程度になりました。
そこに至るまでは
立つ力(対介助)の比率は徐々に減っていき
本人:介助
 8:2
 7:3
 6:4
と少しづつ立つ力がなくなっていき、
現在では
 0.5:9.5
位になっています。
少しでも本人の立つ力を活かしたい
と頑張ってきましたが、現在は立つのが大変になってきています。


そこで、先日、家族にお話しし、ポータブルトイレを購入してもらう事にしました。
ポータブルトイレを使えば、ベット上でズボンの上げ下げができるので、立位を取れなくてもトイレに座り続ける事ができるからです。

「老い」は時間の経過と共に心身ともに衰えていく事です。
私たち介助者は何か変化があった時にすぐに介助しやすい様に取り上げてしまう事があります。
しかし、そうするとすぐに何もできなくなってしまいます。自由も奪ってしまいます。

それなので、常にまだできる事を探して
できることを活かし続ける支援が必要です。

座位が安定するポータブルトイレを探すのが今の私の重要課題です。


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