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時代と共に変わってきたゲームデザイナーの仕事の変化について

ゲームデザイナーの仕事の変化、少数規模でAAAタイトルが可能になった背景、ゲームデザイン会社の役割・設備投資・組織構成について、複数のパターンを検証し、まとめます。

1. 時代と共に変化したゲームデザイナーの仕事

過去: ハードウェア依存・専任型
• 特徴:
• 1980~1990年代のゲーム開発では、ゲームデザイナーは主にルール設計やレベルデザインを担当。
• 技術的知識(プログラミングやハードの特性理解)が必要。
• 少人数チームで複数の役割を兼任。
• 例:
• ファミコン時代のゲームデザイナーは、プログラマーやグラフィックアーティストを兼任し、短期間で開発。

現在: マルチスキル型・分業化
• 特徴:
• ゲームエンジン(Unreal Engine、Unity)の普及で、ビジュアルスクリプトやプロトタイピングがデザイナー自身で可能。
• 専門領域(UI/UX、3Dモデリング、ストーリー設計、バランス調整)ごとに分業化。
• チームでのコラボレーションとツールの習熟が求められる。
• 新しい役割:
• ゲームプランナー: コンセプト設計、ストーリー提案。
• システムデザイナー: ルールやゲームメカニクスの構築。
• UXデザイナー: インターフェース設計や操作性の最適化。
• テクニカルアーティスト: エンジン操作やスクリプト作成の橋渡し。

2. 少数規模でAAAタイトルをリリース可能になった背景

技術とプラットフォームの進化
• ゲームエンジン: Unreal EngineやUnityにより、高度な3Dグラフィックや物理演算が標準化。
• クラウド技術: データ管理やレンダリングがクラウドで処理可能になり、設備投資が削減。
• デジタル流通: SteamやEpic Games Storeなどのプラットフォームでインディーや小規模開発者が直接販売。
• AIとツール: AIを使った自動化ツール(キャラクター生成、背景作成)で開発効率が向上。

具体例
• Hades(2020年):
少数チームによるインディーゲームがAAAクオリティで成功。
• 要因: Unityを使用し、クラウドでコラボレーション。手書き風のアートをデジタルで効率化。
• Hellblade: Senua’s Sacrifice(2017年):
Ninja Theoryが20人規模で制作し、AAAクラスのグラフィックと没入感を実現。
• 要因: モーションキャプチャの内製化とUnreal Engine活用。

3. ゲームデザイン会社が自社で行うべき仕事、設備投資、組織構成のパターン

以下に3つのパターンを基に考察します。

パターン1: インディー型(少人数・高効率)

自社で行う仕事
• アイデア開発(ストーリー、世界観、ゲームシステム)。
• アートスタイルの決定(小規模で一貫性を保つ)。
• ゲームエンジンでのプロトタイピング。
• パブリッシング(Steam、Epic Games Storeなど)。

設備投資
• 高性能PCとゲームエンジンライセンス(Unity/Unreal Engine)。
• クラウドサービス(AWS、Google Cloud)を利用。
• 基本的なモーションキャプチャセット(場合によって外注も可)。

組織構成
• 人数: 5~15人程度。
• 役職:
• クリエイティブリーダー(コンセプト策定)
• プログラマー
• アーティスト(2D/3D)
• サウンドデザイナー
• プロデューサー(マーケティング、予算管理)

パターン2: ミッドサイズ型(中規模開発)

自社で行う仕事
• プロジェクトマネジメント(開発進行管理)。
• 専門性の高い部分(システム設計、ストーリーテリング)。
• アートディレクションとUI/UX設計。

設備投資
• モーションキャプチャとアニメーションソフトウェア(例: Maya, Blender)。
• 専用のサーバー環境とバックアップシステム。
• 高品質なオーディオ機材(音声収録、編集)。

組織構成
• 人数: 20~50人。
• 役職:
• デザインディレクター(全体統括)
• システムエンジニア(オンライン機能対応)
• ライター(ストーリー、台詞)
• QAテスター(バグ検証)
• パブリッシャー担当者(契約・流通)

パターン3: AAA型(大規模開発)

自社で行う仕事
• 自社エンジンやツールの開発(他社との差別化)。
• 大規模なアート・ストーリー制作(映画並みの表現力)。
• 世界規模でのマーケティング戦略。

設備投資
• 専用のモーションキャプチャスタジオ。
• リアルタイムレンダリング用サーバー。
• ワークフロー管理システム(ShotGrid、Jira)。

組織構成
• 人数: 300~1000人以上。
• 役職:
• プロデューサー(全体の統括)
• 専門チーム(AI、物理、グラフィック、サウンド)
• 地域別マーケティングチーム
• カスタマーサポート

4. まとめ

選ぶべきパターンの条件
• 資金: 大規模プロジェクトには多額の資金が必要。
• 規模: 少人数で高品質を目指すなら、インディー型が有効。
• 専門性: 技術力に特化する場合、独自ツールや研究開発が鍵。

今後の展望
• インディー型: AIやクラウドを活用して、少人数でも高品質なゲームを開発可能に。
• ミッドサイズ型: プラットフォーム間のクロスプレイやDLCなどで収益性を強化。
• AAA型: 映画や他のメディアと融合し、総合エンターテインメント産業として進化。

企業の方向性に応じて、設備投資や組織設計を柔軟に対応させることが成功の鍵となります。

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