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数学:算数で考えるを積み重ねた結果

 「算数はやり方を学び、その方法を応用して解けるかを試すもの。」

と思っている大人や子どもがとても多いように思います。

私は、

「算数は子ども達が四則演算などの知識を学習し、状況に応じてその知識を使ってどうやって課題を解決するかの練習。」

だと考え、その視点で子ども達に算数を教えてきました。

さてその環境で育ってきた長女が高校生になりました。
彼女は数学が好きです。数学を学習しだしてから彼女が発した面白い言動や出来事はいくつもあるのですが、先日、数Ⅱのテストの結果を受けた会話が娘の今を象徴しているなと感じました。

その会話は娘が
「テストの点が高校入って過去最高だった!けど、実はテスト時間の残り5分の1の時点で、相当数の問題を飛ばしていて、その時は全部合っていても7割でやばいって思った。」
と話しだところから始まりました。

学校の定期テストはさすがに余裕だろうと思っていた私は
ギョッとして、思わず

「え、テストってそんなに難しいの?大丈夫?最近数学の勉強難しくなってきた?」と聞いてしまいました。

定期テストでそんなにギリギリって、とうとう中学受験の貯金がなくなったのか!と思ったのです。
(過去最高得点でほぼ100点だったのに。親というのは欲深い生き物です)

すると娘は「うん、今回はヒヤッとしたわ。」と涼しい顔でいいながら以下の話をしてくれました。

・基本、数学はテスト勉強はしてない(初耳!!)。
・でも何もしないわけじゃない。他の人はテスト範囲の出そうなプリントをやりこんでいるが(その存在も初耳!)、私も読んではいる。解法の理解(多分視点)を深めている。
・浮いた時間で、テストとは直接関係ない別の数学に時間を費やしているからトータルは自分の方が数学は勉強している。

・結果、パターンとして理解していないので、初見で解くみたいな感じになった。今回の問題は定番のようで先生が数学大好きで、実はちょっとひねってたりしたから、状況把握に時間がかかった。

「けど、最後5分の1の時間で飛ばしていた文章題4題が全て解けたんだよ。
証明って証明された時点で合ってるってことだから、見直しが要らないのがいいよね。時間があれば全部解けるけど、時間に対して問題量が多かったから、大変だったよ。いや~よかった。」

と言われて、母の内心は

・定期テストで一人手首に重し付けて競技に参加するみたいな事してるやん!
・人様の子の話ならすごいね!と言うけど、わが子だとそれいつまでできるん!?って心配になるんだけど!

と感情の波が立ちまくり・・・。

 けれど冷静になるとリスクはあるけれど、アスリートだと思えば確かにこれはいい方法。定期テストは成績を確保するために重要なのでもう少し対策はしてほしいけれど、数学そのものを理解してその実力でテストを受ける姿勢は本質的にはすごくいいと思う。

彼女の学習方法を詳しく聞く限り、定期テストは取れるけど模試では通用しないという事はない・・と感じました(実際かなり勝負できている)。
彼女が見ている視線の先は定期テストではないんだろうな。

ただ、数Ⅱはすでに必修科目ではないという一面もあります。
数学を学びたいと選択したメンバーが受ける試験なので、
難易度もそれなりに上がります。
その中で今のスタイルでどれだけやっていけるかは一抹の不安が残ります。

ふと気になって一緒にテストの解答を見直すと、
やはり、初見で解いているので先生の模範解答と違うケースがありました。
聞くと、

「これは証明方法が3通りあるんだよ。
でも問題量が相当多くて、瞬間瞬間の判断力が必要な状況でどれが一番スムーズかということが思いつけなかったんだよ。」

というのです。
数学はもはや独学に近く、自分で開拓している感じがします。
その分、効率よく学んでいる人が知ってるであろうポイントや視点を取りこぼしている可能性があるなと感じました。

でも数学の事はもはや私には分からない。

「もしかしたら、あなたに見えていない選択のヒントがあるかもしれないよ。その点を先生に質問してみたらどう?」と言うのが母にできる事でした。

 算数で解き方を学ぶのではなく、知識を学んでそれをどう使うかを積み重ねた娘は、中高でも同じことを継続し、学校の進度ではなく彼女の未来に必要な進度に照準があっているというのを感じた会話でした。

以上、数学:算数で考えるを積み重ねていった結果、でした。


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