「ふうふう」なのか「ふーっふーっ」なのか、ソレが問題だ(スイーツオノマトペ/福田 里香、長崎 訓子)
ぼくは、「ふうふう」。
パートナーは、「ふーっふーっ」。
おわかりいただけただろうか。
パートナーは、猫舌なのだ。
オノマトペはそれだけで、時々かわいらしいことをネタバレするものである。
ちなみに、本人は「猫舌ではありません」と否定しております。
けれど、必死の「ふーっふーっ」を目撃しているから、説得力ないよ。
そしてぼくは今、2人分のお茶を淹れている。
ティーバッグを使った簡単なものだけど。
そういえば、そろそろアレの季節かな。
だいぶ寒くなってきたし、雪も降ってきたからね。
「アレ」とは、”ホットチョコレート”のこと。
いや、”ショコラショー”だったか。
『スイーツオノマトペ』の中では。
この本は、お菓子の作り方が書いてあります。
つまるところ、レシピ本です。
そのはずなんですが。
ぱりぱり、さくさく、かりかり、ふわふわ……。
すてきなお菓子に、愉快なオノマトペ。
そして、見ているだけで楽しい長崎 訓子さんによるイラスト。
レシピ本なのに、読んでいるだけで楽しくなれる。
オノマトペは、口中にその感覚をよみがえらせてくれる。
なので、食べたことのないお菓子うんぬんも、まるで口中に再現されているように感じるのだ。
これはもう、レシピ本なのか絵本なのか、わからない。
これは、問題ですよ。……いえいえ、言ってみたかっただけですよ。
そんなぼくも、唯一作ったことのあるものがありまして。
それが、先述の”ショコラショー”。
要は、”ホットチョコレート”。
ココアとは、ちょっと違うんですよ。
わざわざ刻んだ板チョコレートを、鍋の中でゆっくりゆっくり牛乳の中に溶かしていくのです。
その工程も含めて、それはとてもとても温まるものなのです。
ちなみに、”ショコラショー”のオノマトペは、「こくこく」。
ああ、なんてぴったりなオノマトペなんでしょう。
熱々をふーふー冷ましながら
少しずつ啜って飲む、
という行為には、癒しの力が
潜んでいる気がします。
――本文より引用
ええ、ええ、全くもってその通りです。
ぼくの「ふうふう」。
パートナーの「ふーっふーっ」。
そして、2人揃って「こくこく」。
このオノマトペがある限り、ぼくらは幸せなんでしょう。
なんてわかりやすい幸福の指標なんだろう。なんて、大げさかな。
”ショコラショー”を2人で飲んだら、その次は……。
どんな音を、その口に響かせましょうか?
『スイーツオノマトペ』
スイーツオノマトペ/福田 里香、長崎 訓子(2005年)
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