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投資AIを自作するVol.5

前回は、株価のトレンドから値動きを予測するテクニカル分析について、業績面の裏付けがないと、仮に上昇していても長続きしない事を書いた。

今回は、株価を形成する三つの要素について、改めてここまで書いた事をまとめてみたい。

ファンダメンタル…業績の裏付け

まず大元の銘柄を決める段階で、業績の裏付けがある企業を選びたい。まさにファンダメンタル=基礎、株価の土台や裏付け、根っこになるものである。土台がしっかりしないと、木でも倒れてしまう。

「業績の裏付けがある」というのは、元々好調な企業に加えて、赤字から黒字転換した場合や、赤字幅が縮小した場合も含むためだ。また、自己資本比率が安定しており、倒産の恐れが低いこと(潰れたら意味がないので)も大切だ。

ちょうど20年ほど前には、某掲示板で興味を持った丸石自転車(倒産→今は新会社)の株を買った事があった。社長が逮捕される等で上場廃止になり、最後はマネーゲームで1円と2円で取引されていたのだ。

これを書きながら、ギャンブル的に「1円で買って2円で売れたら倍増だな」と思っていた自分の黒歴史を思い出した…。結果的には上場廃止になり、当時は電子化前で存在していた紙の株券が送られてきた覚えがある。

と、こんないい加減な銘柄を買っても、儲かるわけがないのである。当時の自分に「時間の無駄だから止めろ」と言ってやりたい。

ここからは完全に個人の考えだが、今は「買うのは日経平均の採用銘柄でいいんじゃない?」という思考に至っている。それ以外の銘柄を買うなら、明確に採用銘柄より優れていなければ、買う意味がないとすら思える。

東芝のような事例に気をつければ、採用銘柄は倒産リスクはかなり低い(業績が厳しく、自己資本比率も下がっているシャープはオススメできないが)。また業績も安定している企業が多く、情報も入手しやすい。

投資の目的は身も蓋もない言い方をすれば、儲けるためである(優待銘柄を除く)。であれば、どうしてもの理由、オンリーワンの魅力がない限り、225社から選べばいいと個人的には思う。何ならTOPIXコアの30社でもいいくらいだが、ここまで絞るとバリエーションがなくなってしまうのが難点。

ストーリー…語れる道筋

次に大事なのは、自分がなぜその株を買うのか、なぜ上がると思うのか、というストーリーである。これが簡単に説明できるかどうか。木で言えば幹に相当する。

「何となく上がると思うから」とか、「YouTubeで紹介されていたから」ではなく、自分で色々な情報を考え、シンプルに説明できる銘柄かどうかが大切だ。

例えば私は現在、三井住友フィナンシャルグループ(8316)に注目している。その理由は「日銀が利上げすると儲かるから」。たったこれだけで説明できる。

日銀が利上げをすれば、収益が増える事はほぼ確定しており、しかも遠くない将来にそれが来る事も分かっているためだ。長期的には銀行株、特にメガバンクの業績が良くなるのは規定路線であるからこそ、株価が上がっているのである。

また、日経平均採用銘柄にレーザーテック(6920)という半導体製造装置の会社がある。この会社の株を買ったのは、「最先端の半導体に欠かせないから」。これだけで説明できる。

レーザーテックの装置は、最先端の半導体を作る工程の一部で、何と世界シェア100%。この会社の製品がないと世界中の最新スマホが作れなくなるような、ある種究極の強みがある。だからこそ、結果的に日経平均に採用されるまで成長した面もある。

日経平均以外の銘柄を買うなら、これくらい明確なストーリーが必要だと思う。もちろんなくても上がる株は上がるが、より上がる確信を持てるのではないだろうか。

テクニカル…上昇の傾向

最後に、実際にその銘柄が上昇傾向にあるか、兆しがある事が大切だ。木にあてはめれば、儲けるという美味しい実をつける枝にあたる。

株価より現金の保有が多く、異常なバーゲンだった新日本建設も、世界シェア100%のレーザーテックも、ファンダメンタル、ストーリー面からは絶対上がりそうだ。

しかし、株は実際に上がらないと意味がない。そういう意味では、やはりテクニカル分析は欠かせないだろう。世の中の多くの投資家も、プロを含めてテクニカルを見ているのだから、無視をする訳にはいかないのである。

「投資AIを自作する」と言いながらも、前振りが長くなった。しかし、どんなAIを作るにしても、その設計思想が非常に重要となる。今回紹介した三要素を踏まえて、次回以降に具体的な方法を考えていきたい。

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