『終点のあの子』
ジェットスターで6円セールをやっている。
6円の飛行機に乗るために中部まで行くみたいな
結局得したのか損したのかわかんないみたいな
そんな馬鹿なことをして馬鹿だなって笑いたい。
立ち読みで本を半分くらいまで読む。
結末が気になるけどいい加減足が疲れる。
買わないのも申し訳ないから
半分以上読んだ本を馬鹿だなって思いながら買う。
地元のバーで借りた東野圭吾を半年以上返していない。
お金に余裕ができたら甘いウイスキーを飲みながら、
バーにいる柔らかな店員さんと本の感想を語りたい。
元彼の影響でウイスキーを飲むようになった。
久しぶりに会った元彼は
わたしの好きだった日本酒に詳しくなっていた。
わたしを女の子扱いすることに長けている先輩は
美味しいお酒があるからと一人暮らしの家にわたしを誘い
冷えたグラスに日本酒と氷をいれて
一人じゃ飲みきれないからたくさん飲んでと言う。
そんな話をしながら上野の駅の高架下で
サラリーマンのおじさんたちとはしご酒をしたいねと
ラウンジでエクセルをいじりながらうたた寝をする彼女は
ひとり大学を通り過ぎた雨の鎌倉から斜めの海を送ってくる。