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【読書】52ヘルツのクジラたち

自分を守るための嘘

愛されたい。
必要とされたい。

人に利用されている、大切にされていない、自分を押し殺していると感じることがあっても、”必要とされている”という思いこみははるかに引きが強い。

”私じゃなきゃだめ”
”私がいてあげなきゃ”
”私がやってあげなきゃ”

暴力や暴言を受けて一時は離れようと思うけどすぐとどまる。
そんな呪縛から自分で抜け出すことはかなり難しい。
だって、離れたら”愛されていない”と自分で認めることになるんだから。

期待とあきらめ

この人たちは自分を愛していない
でもいつか、私をみて笑ってくれるんじゃないか
そんな思いが主人公の中にずっとあった
偽りに満ちた”ありがとう”と”笑顔”ですべてが許せるほど疲弊した心の持ち主に出会ったとき、私は何ができるだろう。

期待は希望
期待することをあきらめることは絶望?平穏?

今日は変わっているかも、
今日は違うかも、
今日は優しいかも

そんな期待を毎日どこかでしてしまう
変わらないから期待は裏切られるというのに
でもそんな幻想でもないと耐えられないこともある

いつだって正しい判断を下せる人なんていないんだ。
心の弱いところに入り込むぬくもりが、いくら悪いものだって受け入れて手放したくないときもある

52ヘルツの声

私はきけるだろうか
52ヘルツのクジラの歌声
私の52ヘルツの歌声は届くだろうか

そのためには発信し続けないといけない
幸せに満ちた声でも、悲壮感に苛まれている声でも
キナコも52も声を発することをやめていない
もちろん聞いてくれた人がいたからだけど
発信し続ければいつか声が届く。

その声が響いているうちに、聴きたい

あらすじ

すごく酔った文章になってしまったので、物語のあらすじを紹介。

都会を離れ亡くなった祖母の家に引っ越してきた主人公”キナコ”
”一人になりたい”と静かな田舎町を選んだ。
雨の日、ボロボロの服をきた痩せた子供に出会う。
その子を取り巻く環境は、まるで過去の自分。

クジラはね、どんな広い海でも歌声で仲間と出会える、繋がれる。
でも周波数の違う52ヘルツのクジラの声は、どんなに近くにいても仲間に届くことはない。孤独の歌声。
52ヘルツの歌声。私だけはきいているよ。

”キナコ”を救ってくれた恩人との壮絶な過去。
聴いてもらったのに、聴けなかった声。
今度は聞き逃したくない。52ヘルツの歌声。

そんなお話でした👏👏
人を助けるって想像もつかない
自分よがりになりそうだし、助けられるだけ自分がちゃんとした大人なのかとか考えてしまうけど、助ける人は、きっとそんなことを考えていないよね。
ちゃんと相手を見て考えて話して、しっかり受け取って伝える。
私もいつか誰かの声を聴きたいな。
そして私の声も聴いてほしいな。


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