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日記|できないことが増えていくことがうれしいとか、春。

独立して1ヶ月が経った。
できなことばかり、知らないことばかりの毎日。
それがわりに楽しい。

そんなわけで、できないことに直面する日々の記録。

18年ぶりに車の運転をしてみたら、ハンドルの回転具合がわからなくて、全曲がり角で教官の腕が伸びてきた。
そもそも私の脳では、右折と左折と右と左が噛み合ってないから曲がり角はパニックでしかない。
ずっと脇目も振らず前だけ見て走ってきた人生だったからしょうがないんだけど(うそ、寄り道ばかりの人生だったわ)。
平手ちゃんの「角を曲がる」を聞いて曲がるシュミレーションしよ。

Duolingoで久しぶりに再開したフランス語。デイリーミッションで正答率80%とかノーミスとか課せられると一生終わらない気がしてくるし、もうひとつはじめた勉強も記憶力のなさに愕然とするけど、答えられるものが少しずつながら増えている手ごたえが楽しい。
やればやるほど、知らないことが増えていくけど。

そういえば、アルバイトをはじめた。
キャッシュレスオンリーの店のレジで、毎回思考が停止している。
新人枠という8年ぶりのポジションはこそばゆい。
でも、かつて人見知りだった自分が、いつのまにか知らない人と話すの好きになってたことに気づけた。

はじめての媒体で執筆もひさしぶりで、「試されてるぞ…」と正座しながら書いた1行目。
6000文字に15枚の写真のWEBとは違う、1000文字5枚の写真で構成するページ。楽しくて楽しくてスルスル進む快感とか楽しくて幸せで、書くの好きだったんだと気づくことができた(書き仕事も増やそうかな)。

使う筋肉の違いにハマって、普段使わない筋肉使いたくなって、筋トレはじめたりして。

***

目の前の2歳半の娘もまたできないことばかりな日々を生きている。
先日公園に行ったとき、網を渡る遊具がなかなか渡れずにいた娘は、「こわい…できない」と言いながらも何度も何度もトライしていた。

同時に毎日「これはなに?これは?これは?」と聞いてくる。

「できないこと、知らないことがあるって、わくわくするね」って言ったら「ねー」と返す娘。

できてる状態が楽しいんじゃなくて、できるように“なる”ことが楽しいって気づかなかった。

ずっと同じ場所にいるうちに、できないことは誤魔化せるようになって、できて当然って思われるようになって、自分でもできる気になってやろうともしなくて、知ったような気になってて。
そう、気づいたのが冬のはじまりの頃。それからいろいろあって、今。

「なんで独立したの?」って聞かれたとき、「このままだとできないこと知らないことを見落としてしまいそうだったから」と答えることにした。

「独立してどう?」って聞かれたら、「できないこと知らないことばかりで楽しい」と答えることにもした。


私たちが生まれ育ったなじみ深い場所からいったん飛び出してみるならば、慣れ親しんだやり方や考え方であるとさえ思っていなかったあたりまえを、見つめ直してみることにつながります。
それだけでなく、そのことは人間の持つ文化や社会とは何であるのか、さらには人間とは何か、世界とはどのようなものなのかについて考えてみるための出発点となりうるのです。
「これからの時代を生き抜くための文化人類学入門」奥野克巳

最近読んだ本の一文。
「もうすぐ春ですね」くらいの気持ちで書きはじめたのに壮大になってしまったけど、春ですね。


写真は前職の元食堂こと「龍朋」。独立後はじめての仕事で行ったのは感慨深いできごとのひとつ。

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