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導入 (1)

フランス式庭園のような人工的に丸く刈り込まれた樹木が点々と植えられた道を、私は流れるように進んでいた。
鳥になったような視点で、自分自身が飛んでいるようなスピードと動きでその景色を眺めていた。

フルカラーの躍動的な映像が無限に流れる中を、私は漂っている。

しばらくその場面を眺めていると、
今度は、水平線の遠くに見覚えのある島影が見える。
空気感で自分が島風を感じている事がわかる。
切ない思いでその景色を見ている感情は誰のものなのか。

次の瞬間、東京の自宅に残してきた息子が父と過ごしている場面に移り、
息子の愛しい頬の柔らかさの感触を感じながら、私は涙を流し、

また、次の瞬間は
海底から海面を見上げる自分の目線に場面は移り、
無数の茶褐色の豊かな海藻が日光を目指すかのように上へ上へと伸びて、
穏やかな波が目に見える全てを揺らして、
海面の輝きと共に黄金色の絵画のような幻想的な景色を表していた。

次々と見える景色や、映像に紐づいた感情を眺めながら、
これは私の未来の道であったり、同時に何処かで起きている出来事でもあり、
過去の何処かで誰かが見た景色だとわかった。

無限に漂う宇宙の真ん中に、私は漂っており、
意識を向ければ、どんな道も見る事ができ、進む事ができる。

真っ暗な空間の目の前には、意識すると光の道の様なものが見え、
その次の瞬間にはその場所に居る

意図すれば、どんな世界にも行く事ができる
また、どんな未来も創ることができる

過去にも未来にも、この世界には目に見えないだけで、
過去の歴史の流れの中に起きた全てのこと、全ての感情、全ての叡智が充満しており、
意図すればそのどの場面にも繋がることができる

瞬時に移動できる代わりに、どんどん動いて行ってしまう
戻りたい場所には座標を置き、また、その思いに繋がると
また、その情景に戻ることができる。

私があの人を想って泣けば泣くほど、その道筋は悲劇となって創造され、

私が愛の状態であれば、流れはまた大きくうねり、未来は変わって行く。

私は愛するだけでいい。見返りとして愛を欲しがる必要もない。

無限に広がる空間に浮かび、私は過去や未来、全ての人、事、物、感情、状態に感謝した。
この状態を経験した時、ある音が聞こえてくる

静けさの中に身を置いて拡大された私の意識の中に響き渡る。
アイ..アイ..アイ..アイン..何度も繰り返されるその音の中に
私はこの大切な言葉を元の世界に戻っても忘れたくないと思い、注意深く聞き耳を立てた。
言葉を知らなくともその意味はわかった

なぜならその時、私はその状態に浸っていた。
大いなる源。永遠。

最も私の大切なものであり、愛の状態。
アインソフ 。意識が戻って、この言葉を覚えていられたら、私の大切なものの名前にしよう。
この思いを忘れないで、忘れないで、

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