若者が通訳ガイドになりたがらない5つのワケ
最近、色んな縁で通訳ガイドに仕事を依頼する組織や会社側の方々と顔を合わせる機会があったのですが、(コロナ禍の)今でも通訳ガイドは求められている、そして今後(アフターコロナ)も求められていくと感じています。
今はコロナ禍ということもあり、インバウンド需要というのはほぼありませんが、インバウンド観光業界はアフターコロナを見据えて確実に動き出しています。
ですが、その一方でコロナ前に現役だった通訳ガイドの業界離れも進んでいるようですし、こんなご時世で、ましてやこのタイミングで通訳ガイドになりたいと人はそれほど多くないというのも致し方ないことなのかもしれません。
今回書きたいと思ったことは、通訳ガイドに若者があまりいないのはナゼだろうというところからはじまり、若者に不人気な理由をいくつか考えてみました。
通訳ガイドが若者に不人気な理由5選
理由①:語学堪能が逆にネック
通訳ガイドに求められるスキルの中でも最も想像しやすく、且つそれが無ければ通訳ガイドへの道を諦める理由にもなるのが語学力かと思います。「通訳」というタイトルが付くくらいなので、日本語の他に少なくとももう一つ外国語がそれなりのレベルで使えることが求められます。(といっても実は”通訳”がタイトルにあるのはミスリードを起こしている気もするくらい通訳者と通訳ガイドは似て非なる職業です)
ですが、高い語学力を若いうちに身に付けた人の多くはおそらく通訳ガイドにはなりたいとは思わないでしょう。その理由は簡単です。
なぜなら、彼らの多く(特に学生時代に留学などで海外経験者)は語学を活かすことで就ける仕事の選択肢がたくさんあるからです。海外で就職する人もいるでしょうし、日本であっても外資系企業などに就職してバリバリ活躍したいと考える人が多いはずです。
僕自身は例外として、自分の周りの留学生にもそういう人は多くいました。
なので、彼らのようなグローバルに活躍できる人材をどうやって通訳ガイドになってもらうかが業界の今後の課題かと思います。ある程度、金銭的な面でも頑張らないと正直難しいと個人的には思っています。
理由②:語学力が足りない
最初にあげた理由と逆のことを言っているようですが、これはこれで課題として深刻です。語学力が高い人材は他業種へ行かれしまい、低すぎる人材は仕事として成り立たないのが通訳ガイド業界の人材集めの難しいところなのだと思います。
ただ一つ言えることは、現状語学は堪能とまではいかないけど、通訳ガイドになりたいとおもっている若手人材はスゴく貴重です。そうした人材は業界として大切にしてガイド育成のカリキュラムをきちんと構築して対応していく必要があると思います。
極端な話、若いうちに通訳ガイドになりたいとさえ思ってくれれば、語学なんて後付けでなんとでもなります。なのでまずは業界として「通訳ガイドになりたい!」と思ってくれるようなイメージ戦略をする必要があるのかもしれません。それが現状できていない、その現実は次の理由です。
理由③:セカンドキャリア感が強い
日本で、通訳ガイドをイメージするとどうしても年配層のセカンドキャリア感が強いイメージがあります。業界内にいる僕でもそう思います。実際に通訳ガイドの年齢層が高いことは紛れもない事実です。
それでは当たり前ですが、若者が通訳ガイドになりたいなんておもいませんし、それでは問題だと思うのです。職業を聞いてパッと思い浮かべるイメージってスゴく大事だと思います。
例えば、キャビンアテンダントを例にあげてみます。若い女性に圧倒的な人気の職業ですよね。実際の仕事内容は意外と地味なこともたくさんあると思いますし、ぶっちゃけものすごく収入の良い職業ではないと思うのですが、それでもイメージが先行し、なりたい人(特に若い女性)はたくさんいるわけです。
正直、通訳ガイドとキャビンアテンダント、大枠の業界(ホスピタリティ業界)は一緒ですし、仕事内容も似ているところも多いと思います。
キャビンアテンダントになりたいような人材が憧れるような職業にしていかなくてはいけないと思います。
理由④:稼げない?
仕事選びなので、なんだかんだでお金のことは気にはなる人も多いはずです。よく通訳ガイドのお金の話になると、年収(半数以上が年収200万円以下)を引き合いに出されて、「通訳ガイドは稼げない」と言われてしまいがちです。
正直、一言で”稼げない”という言葉だけでは説明不足です。その言葉に左右されすぎな印象がありますし、そもそも個人事業主であり旅行を仕事にしている通訳ガイドにとっての旨み(メリット)は単純に”稼ぐ”ことではないかと思います。
ですが、それが世間のイメージですので、稼げないイメージは変えていく必要がありそうです。
ちなみに通訳ガイドはたしかにサラリーマンよりも”稼げない”かもしれませんが、一方で”貯まる”職業とはいえるかもしれません。
一般的にサラリーマンだと年収から税金が引かれ、残りの手取りから生活費が掛かってきますよね。職場と自宅の往復の毎日を送れば、たまには旅行にだって行きたくなりますよね。それら全て差し引いた後お金は一体いくらになるでしょうか。
対して、通訳ガイドは固定費のような経費はあまりありませんし、節税もやり方次第では十分可能です。また、旅行自体が仕事ですので旅行に高いお金を払って行く必要がなくなります。
なので、稼げないというよりは貯まるというわけです。
(※通訳ガイドといっても様々な仕事のスタイルがあるので上の内容は一部に過ぎません)
理由⑤:ライフスタイルが極端
通訳ガイドをやるということは会社員のように同じオフィスへ通勤し、決められた業務があるような働き方とはかなり異なりますので、ある意味でワーク(仕事)というよりライフワーク(生き方)として捉えた方がわかりやすいかと思います。
特に、僕のようにスルーでロングと呼ばれるようなスタイルのツアーガイドをやっていると年間250日くらい外泊なんてこともありえますが、それはあくまでもひとつのスタイルであって、通訳ガイドといっても色んなスタイルがあります。
このように仕事内容が少々極端なので、人によって合う合わない間違いなくあるので、それで職業選びの際に避けられてしまっている可能性は十分あります。(正直、そもそもそれすら知られていない気もしますが…)
最近では、多拠点生活や旅行をしながら仕事をする働き方や生き方も流行ってきているので、若者には通訳ガイドのワークスタイルも意外と受け入れられやすいのではないかと思っています。
まとめ
今回は、通訳ガイドが若者に不人気になっている理由5選を紹介してみました。
こうして挙げてみると、たしかに業界としての課題はたくさんあるように思いますが、同時に魅力的な職業になれる要素も十分に感じました。
そして、通訳ガイドという仕事の存在自体が知られていないのではと思ったりもします。
個人的には・・・
通訳ガイドは、
旅費を出してもらって、まぁまぁイイ報酬もらって外国人とお喋りしながら好きな旅行をして、最後に彼らからお礼の言葉とお駄賃がもらえ、世界中に日本好きの友達ができる。
そんな仕事だと思っています。
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