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何者でもない違和感を拭い去る日が来るまで



名前はあいかも 
以上


特技とか趣味とか今まで頑張ったことなど、自分をアピールするネタは探せばいくつもある。わたしが生きてきた跡はどこにでも存在していて、その跡にそれぞれの思いがある。嬉しかったこと悲しかったこと、つらかったことなどいくつも重なって今のわたしが出来ていた。その人の人生に触れることは物語を読んでいるようで、それなりに生きていれば1つの物語が出来ていくだろう。

今のわたしには名前しかなかった。いや、残ったもの。それ以外はどこかに置いてきてしまった。その跡を探すわけでも新たに見つけるでもなく、ただぼんやりと一日を過ごしている日々。本能のままに息をして、眠って。どんどんわたしが薄くなっていくようだった。


肩書が揺るがぬものだとは思っていない。でも肩書がない今の自分には埋められない穴があるように思う。わたしのすべてを語るわけでもないのに、昔の自分はそれほど守られていたのだろう。いざ自身で勝負すると何も持っていないことを知らされた。10年前にタイムスリップしたみたいに今日を歩いていた。


久しぶりに働く雰囲気を味わった。わたしは看護師という資格を持っている。でも看護師としては働いていない。職場であいさつした時、

「看護師のあいかもです」

ではなく「あいかもです」としか言えないことにモヤモヤした。わたしが望んでしたこと、それなのに肩書が言えない自分に違和感を感じる。看護師であるのに看護師ではないわたしはまるで違う人。

これじゃまるで実習生だ。

10年以上前のわたしに戻ったような感覚に陥っていた。誰かの手引きがなければ何もできない存在。いるだけで迷惑をかけているようで逃げだしたくなった。どうにかやり過ごして終了した途端わたしは走っていた。一刻も早くその場からいなくなりたかった。


今日はうまく書けない、それほど自分の気持ちに向き合いたくない。必要とされるのは重荷と感じながらも誰かに必要な存在になりたいと思う。混ざり合ったこの思いをどうかみ砕けばいいのか分からずそのままにしている。みじめで情けなくてどうしようもない。わたしは何者でもなかった。


きっと過去から逃れることはできない。進もうとすればするほどついてまわる。過去を乗り越えていないわたしは思い出すと音を立てて崩れて、気を抜くとのまれてしまいそうだ。いつか乗り越えて自信を取り戻す日は来るのだろうか。


今は何者でもないわたしを抱きしめて歩いていくしかない。


明日もわたしは足跡をつけていく、その先の希望を探しながら。



最後まで記事を読んでくれてありがとうございました!