2月 「欲深き人の心と降る雪は積もるにつれて道を失う」高橋泥舟(たかはしでいしゅう) 2019年2月記す
2月
欲深き人の心と降る雪は積もるにつれて道を失う
高橋 泥舟 たかはし でいしゅう
大阪府神社庁
「お伊勢さんと氏神さんのお神札(ふだ)をおまつりしましょう」(神社配布の紙)
2019年2月記す
神社の がらがらの鈴のとこ、賽銭の柵のはしっこのとこ。
紙があるので取って見てみたら
欲深き人の心と降る雪は積もるにつれて道を失う
57577になっていて どきんとする。
このところ テレビでオルテガの言葉をていねいに解説するのをやっていて それを見て さまよう あれこれのこころや、
数年ぶりに会う友だち、そのひとがやってくるから片づける家。その一連の家のいつのまにかわらわら増えている荷物。それらを粗大ごみの日に粗大ごみのシールを貼りつけて、さかのぼると粗大ごみのシールをコンビニで買って、お金を払ってごみを持っていってもらうということ。
そういう作業全部、そしてこないだ依頼来て 考えながら書いて消してしてる「運命」ということ
(「ハロー、運命」に寄せて ウェブサイト「she is 」 2019年4月)。
少し引くと 詞書のような台詞(短歌)部分
ハロー
「選択するものがやたらと多いよね。持てるものは 少しなのにね。」
こういうこと。それらぜんぶが、
欲深き人の心と降る雪は積もるにつれて道を失う
この歌と呼びあっているので どきんとした。
まあまあ 道を 失ってんなあ。そして全体。欲が深いなあ。きりがないなあ。
積もるにつれて道を失う
何か あとを引くなあ。
欲深き人の心 と 降る雪は
「と」で繋がっているけど、
一首を読みおえてから
欲深き人の心
の中、欲深いので どっか池のようにぽっかり穴のあいた 心、
その 人間の心の、ぽっかり穴の中に雪が降って。
積もっていくまでを想像する。
そしてぽっかりに雪が積もり 穴は埋まって それでも更に降ってくる雪。降ってくる。雪。
いちばん最初に何を望んでいたのかもわからないくらい 欲ぞしくなって。
底に何があったのかもわすれしまって。忘れてしまったことにも気がつかない風情で。
また何かを探す探す探す 欲深い人間の心。わたしの心。
着ぶくれている心。降ってくる雪。着ぶくれていく心。
だんだんに見えなくなっていく道。このままでは、ほんとうに見えなくなってしまう。道。
今はまだ見えている道。降ってくる雪。気づかな。
そんなんじゃ いけない。
欲深き人の心と降る雪は積もるにつれて道を失う
この言葉が今日のわたしに何かを突きつけてきたのだった。
2019年2月記す
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