【読書コラム】リモートワークを"リモート起業"へと進化させるときの5冊
日本の大企業が少しずつリモートワークの取り組みを進めている。満員電車に揺られ、タイムカードを押し、それぞれのデスクに座って、今日の会議のスケジュールをチェックする。こんな日常がリモートに置き換わるなどとは誰が思っただろう。
しかし、企業というものは追い込まれ、必要に駆られれば強い。さまざまな業務が今や、社員の自宅のパソコンで処理されるようになっている。
この現実が教えてくれることのひとつは、立派なオフィスがなくても、つまり社員の多くが自宅にいても、インターネットさえ接続されていれば大企業の業務が行えるということだ。
だから、これから起業を目指す人たちはもう、大企業の真似事をして企業らしさを演出するために、また社員のモチベーションを維持するために、立派なオフィスを用意する必要はない。
起業のための流れを把握
さて、リモートワークで自宅にいながら起業しようと考えたとき、一体どのようにすれば良いのだろうか。
これまで世の中には数多くの会社が生まれては、数年のサイクルで倒産や廃業へと追い込まれている。10年続く会社なんて、ほとんどない。
まずは事業のカテゴリを特定して、実際のビジネスを始めるために必要なプロセスや考え方、アプローチについて全体像を把握しておこう。類似本は山ほどあるけど、この本が綺麗にまとまっていて読みやすい。
創業メンバーとして必要な人員の数を3人だとして、それぞれにどのような役割が求められているのかを詳しく解説していたり、起業体験をしなければ知ることのできない(予防することができない)トラブルへの解決方法なども示されている。
小さく始めるための指南書
従来の起業のプロセスを把握した上で、これから新たにリモート起業を目指す人にとって非常に参考になるのが、この本だ。
タイトルの通り、従来型のスケールさせることを主目的とする企業とは異なり、必要最低限の機能を持った小さな会社を作ろうという指南をしてくれる一冊だ。
さらに、この書籍の著者はリモートワークを可能にするサービスを提供している企業の創業者であるため、リモートワークをフル活用することを前提に本文が執筆されているのが良い。
2016年末に出版された本なんだけど、今ちょうど読んでおきたい本。
学ぶべき先人は多い
今でこそ大企業として世界に名を馳せているIT界の巨人たちも、その多くが自宅のガレージから事業を始めた。
パソコンというものを現在の姿へと創り上げてきたスティーブジョブズやビルゲイツなどのレジェンド達の起業から現在までのエピソードには学ぶべきものが多いだろう。
ただ、この書籍を読んだときにはジョブズよりもゲイツよりも、アランケイの凄さを感じた。現在のパソコンの姿を予見して、そして形を作っていったのはアランケイなのだと思う。
ジョブズひとり、ゲイツひとり、そしてアランひとりでも、現在のアップルやマイクロソフトは誕生しなかっただろう。これは地理的要件を問わないリモートワーク時代の人材集めでは、非常に重要なポイントではないだろうか。
さらに創業メンバーについて深堀りして、ひとつの企業の中に必要な人材について考えるには、この書籍も役立つ。
「畳み人」という言葉がどれほど市民権を得ているのかは不明だが、成功している会社を見てみれば必ず「畳み人」に相当する人物がいるように思う。
「畳み人」に対する言葉は「広げ人」で、当然ながら「広げ人」の方が目立つのだが、「広げ人」ばかりで溢れた会社には未来がない。
リモートワーク起業の資産とは
私はITバブル当時、弱小ながらもIT企業を経営していて、それなりの売り上げがあったものの、「いったいこの会社の資産とは何だろうか」とずっと悩んでいた。
事業に必要なものと言えば、実質的にはパソコンしかなく、これまでの既存の会社のような資産価値を作ることは難しそうだと半ば諦めの境地にいた。工場や設備投資、農地や漁船などの金のかかる資産が何もないからだ。
リモートワークで起業するとなると、さらにオフィスや事務機器という資産さえなくなる状況になるので、この悩みは深くなる。
これに対する答えとも言えるのが、この本だった。
なんだかちょっと小難しい話だけど、現在の企業の価値というのは「無形資産」がメインを占めていて、知識やノウハウこそが企業価値であるということを明らかにしてくれている。
物理的に大きな会社を目指さず、それでも十分な社会的インパクトを持ち、ターゲットとした課題の解決を行えるリモートワークによる起業は、知識やノウハウなどの資産を築いていくことを目標にするのが良いのだろう。
世界各地に散らばる仲間とともに、なにか大きなことをしでかしてみるのはどうだろうか。
あなたに最適な書籍をおすすめします!
当コラムでは、大きな時代の変化に対応すべく新たな知識を身につけたい皆さんに対して、最適な本をご紹介することを目的として更新を行っています。
毎日のニュースを常に追い続けるよりも、1冊の本から得られる知識の方が重要だと考えているからです。
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さて、次回は「リモートワークで人を動かすための方法」という観点からのコラム&おすすめ書籍について書こうと思います!
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