もし哲学者のニック・ボストロムが黙示録的SFを読んだら
はじめに
本作品『もしSF』は、かつてブームになった『 #もしドラ 』のパロディ作品である。『もしドラ』の正式なタイトルは『もし高校野球の女子マネージャーが #ドラッカー の『マネジメント』を読んだら』で、岩崎夏海によって書かれた日本の #ラノベ だ。主人公の #ニック・ボストロム は、スウェーデン出身の著名な哲学者で、オックスフォード大学の教授を務めている。彼は未来学やリスク研究の分野で有名であり、特に人類の存続に関わるリスク、いわゆる『存在的リスク』についての研究で知られている。彼の著書には『 #スーパーインテリジェンス :超絶AIと人類の命運』などがある。
これまでのあらすじ
SF作家で哲学者の俺は、 #科学技術立国 日本の国民の大半がサイエンスや哲学に関心があると信じていた。ところが、自ら日本国民の関心を調査したところ、日本人の大半はサイエンスにも哲学にも興味がないことが判明し、愕然とした。
第1章:ニック・ボストロムの悩み
或る日、哲学者のニック・ボストロムは最新の科学雑誌を読みながら、彼が常に警告してきた #人類破局 シナリオについて考えていた。『 #AIの暴走 、 #ナノテクノロジー の誤用、 #地球外生命体 の侵略…』彼はため息をつきながら、これらのシナリオを誰よりも深く理解していると自負していた。
第2章:未知との遭遇
そんな或る日、彼は偶然にも #神保町古書店街 の古本屋で一冊のSF小説を手に入れた。そのタイトルは『終末のシナリオ』。好奇心からその本を開いた #ボストロム は、ページをめくるごとに驚愕を隠せなかった。『こ、これは…まるで私の考えをそのまま書いたようだ!』
第3章:次々と明らかになる真実
ボストロムは次々と #ブックオフ ・秋葉原駅前店の100円SF小説を読み漁った。驚いたことに、彼が考案したと思っていた人類破局のシナリオは、すでに多くのSF作家たちによって描かれていた。『まさか、私のオリジナリティは一体どこに…』
第4章:哲学者の挫折
彼は自分の研究室に閉じこもり、頭を抱えながら考え込んだ。『私がこれまで考えてきたことは、ただのSF作家たちの後追いに過ぎなかったのか?』彼の自信は砕かれ、心は深く落ち込んでいった。そんなところに、ボストロムの助手のアリスが研究室に戻って、彼の憔悴した様子を見て驚き、『どうしたの?』と尋ねた。ボストロムはすべてを打ち明け、『私はただの模倣者だった…orz』と告白した。
第5章:新たな視点
アリスは笑いながら言った。『ボストロム教授、そんなことで落ち込む必要はないわ。 #黙示録 的な書物は、SF作品が書かれる2000年くらい前の紀元前後の2、3世紀にわたって書き尽くされているのよ。『 #エノク書 』には天使と巨人、洪水の予言、最後の #審判の日 なんかが書かれているし、『 #ダニエル書 』には夢や幻視を通じた #終末予言 として『四つの獣』が描かれているの。最近では日本のアニメ『 #サイコパス 』でも有名な『 #シビュラの託宣 』もあるし、『 #死海文書 』の『戦争の書』には善と悪の最終的な戦いについて書かれているの。この手の話は #ゾロアスター教 やその他の宗教にでもある基本的な概念で、 #新約聖書 の『 #ヨハネの黙示録 』にはキリストの再臨、終末の日、最終的な裁きなんかも描かれているのよ。ターミネーター・シリーズを見ていたあなたが、終末の日を知らないなんて…。他にも『 #エズラ書 』、『 #バルク黙示録 』、『 #ヘルメス文書 』とか、哲学やSF以前に常識の範疇じゃないの?』
第6章:ボストロムの再起
アリスの言葉に打ちのめされたボストロムは、新たな決意を胸に再び立ち上がった。
『そうだ、タイムマシンを作って、紀元前三世紀くらいに遡って、さまざまな黙示録を燃やしてしまえば、私が黙示録の創始者としての地位を確立できるじゃないか!』
彼は哲学を止めて #タイムマシン 開発の研究に没頭し、過去改変するための新たな戦略を練り始めた。
第7章:哲学とSFの融合
ボストロムはその後、SF作家たちとの対話を通じて、 #過去改変 を行うと #バタフライ・エフェクト や #親殺しのパラドックス という現象が生じるという仮説を知り、更に愕然とした。
終章:現実への帰還
『タイムマシンも駄目か…』ボストロムは再び現実に引き戻された。彼はやれやれと肩をすくめ、『やはり黙示録研究者として頑張るしかないか…』と呟いた。そんな彼を見て、アリスはにっこり笑って言った。
『それでいいのよ、ニック。誰かの影響を受けることは悪いことじゃないの。寧ろ、他人の意見を自らの哲学としてドヤ顔で講義したり出版したりできる、あなたや #マルクス・ガブリエル のような厚かましさこそが、哲学者の才能なのよ…』
こうして、アリスに励まされたボストロムは再び希望に満ち、陳腐な黙示録的哲学分野の開拓を続けた。
武智倫太郎