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SDGsにおける二重思考:多様性と普遍性の矛盾

 ジョージ・オーウェルの『1984年』に描かれている『二重思考』は、相反する考えを同時に信じる心の働きを指します。例えば『戦争は平和である』という矛盾したスローガンを無条件に受け入れるような状況です。

 SDGsでは『多様性の尊重』が強調される一方で、SDGsの価値観や目標を普遍的なものとして受け入れるよう求められています。しかし、SDGsの価値観を国境や老若男女に関係なく一律に押し付けることは、多様性の否定に他ならず、結果的に多様性の概念が論理破綻しています。

 例えば、SDGsの目標が特定の地域の文化や価値観と対立する場合、その地域に無条件でSDGsを受け入れさせることは、その文化を抑圧することになります。また、SDGsを推進する過程で、異なる意見や方法が排除される危険性もあります。

 SDGsと持続可能な発展の矛盾については、循環型経済の導入や技術革新、持続可能な消費や生産を推進することで、ある程度緩和できます。しかし、思考の多様性が失われる問題は、技術革新では解決できない根本的な論理的矛盾です。この結果、統一された価値観が強調され、多くの日本人がSDGsの取り組みに閉塞感や矛盾を感じる原因となっています。

『多様性を尊重しつつSDGsを無条件に受け入れる』という考え方は、異なる価値観を無意識に抑え込み、統一された思考を押し付ける結果を生む可能性があります。この矛盾こそ、SDGsにおける二重思考の一例です。本当に多様性を尊重するには、SDGsの価値観を各地域やコミュニティが自らの文化に合った形で柔軟に取り入れるかどうかを判断する自由が必要です。

 例えば『文藝春秋SDGsエッセイ大賞』のようなコンテストは、多様な意見を集める場として価値があります。しかし、主催者が『Susta(i)nable』を『サステナブル』と表記し続ける認識の甘さでは、応募者は主催者が期待する『模範解答』を書くことに傾き、協賛者や審査員の偏った視点が強化されるリスクがあります。

 そのため、本稿のような逆説的な意見を提示することは、バイアスを修正するために重要です。しかし、こうした視点はコンテストの『模範解答』から外れるため、入賞が難しくなるというパラドックスが生まれます。この矛盾を、主催者、協賛者、審査員、応募者、そして読者全員が理解する必要があります。

武智倫太郎

【以上、原稿のタイトル、著者名込みで、1000文字以内です】

参考

2024.03.19
サステナブルな社会のためにできること~「文藝春秋SDGsエッセイ大賞2024」ご協賛のお願い
文藝春秋
「文藝春秋」創刊100周年を記念して始まった「文藝春秋SDGsエッセイ大賞」。(中略)
老若男女問わず、多くの方々がサステナブルな社会について考えるきっかけとなり、今年度も優秀作品は「文藝春秋」誌上にてご紹介させていただきます。(中略)
協賛メニューは純広告、タイアップ広告に加えて、動画広告も大変ニーズが高まっています。
企業としてのサステナビリティ―の考え方、カーボンオフセットについてどう取り組むかなど、「文藝春秋」を通してぜひオピニオンリーダーの方々に訴求されてはいかがでしょうか。

「文藝春秋SDGsエッセイ大賞2024」ご協賛のお願い

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