【応援ブランディングvol.17】ブランディングでつまずく3つのパターン②
②外に向けたブランディングを優先させている
2つ目は、「外に向けたブランディングを優先させているパターン」です。
外とは社外に向けたブランディングのこと。
応援ブランディングではあらゆるステークホルダーのことを大切に考えた上で、内部へのブランディング活動であるインターナルブランディングを重視する必要があります。
話をわかりやすくするため、まずブランディングの種類から説明させてください。
実はブランディングには2つの種類があります。
ひとつは社外に向けたブランディング。これをエクスターナルブランディング、またはアウターブランディングと言います。
対象はお客様だけでなく、取引先や地域社会、金融機関、求職者など、あらゆるステークホルダーです。
そしてもうひとつは社内に向けたブランディング。これをインターナルブランディング、またはインナーブランディングと言います。
対象は社内で働いている人すべてです。経営者や経営幹部、従業員、もちろんパートやアルバイトの人も含みます。
ブランディング活動の内容は、ともに「自社ブランドはこう思われたい」というブランド・アイデンティティの浸透です。
※インターナルブランディングの場合、最終的にはブランド・ビジョンの達成につなげていきますが、ここではその前にあるべき状態として表現しています。
こちらの図をご覧ください。
見ての通り、ブランディングは内から外へ向かって伝わっていきます。
仮に、まだブランド・アイデンティティ(自社ブランドの独自性のある価値)が社内に浸透していない状態で、社外へのブランディングを優先するとどうなると思われますか?
これは伝言ゲームをイメージしていただくとわかりやすいでしょう。
伝えるべき価値が浸透していないということは、価値を絞り込めていないということ。
その場合、人を介せば介するほど、誤った内容が伝わっていきます。
また、社内にブランド・アイデンティティが浸透していないということは、それぞれの従業員が思う自社ブランドの価値を、それぞれの感性でお客様に伝えているのです。
これでは特定の記憶のコップに水を注いでいくことはできません。
さらにまずいのは、従業員の感情によって発信する内容が変わること。
人は同じ言葉を投げかけられても、気分のよい時とよくない時では受け取り方が違うように、従業員の感情の起伏によって、お客様への伝わり方が変わってくるのです。
簡単に言うと、機嫌のよい時と悪い時で言うことが変わるのです。
これはもうブランドにとってマイナス以外の何者でもありません。
ブランド・アイデンティティはつくって終わりではなく、つくってからがスタートです。
社内への浸透活動をおろそかにして、社外へのブランディング活動を進めると、従業員の感性とその時の気分でホームページやパンフレットなどをつくっていくことになります。
なかには的を射たものもできるかもしれませんが、たいていの場合、それらのブランディングツールはすぐに使い物にならなくなり、つくり直しになってしまいます。
なぜなら、自社ブランドが伝えたい価値が社内に浸透していないからです。
とくにデザインを外部のパートナーに任せている会社には顕著に現われます。
ですので、ブランド・アイデンティティの浸透は、まず社内から始めること。これがブランディングでつまずかないための2つ目の方法です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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※マガジン内の記事は、拙著【愛され続ける会社から学ぶ 応援ブランディング】から引用しています。豊富な事例も掲載しているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。