【応援ブランディングvol.8】ブランドの不易流行とは?
ブランドと言うと、一度決めたことを変えずに続けているというイメージを持っている人が多いのではないでしょうか?
とくに伝統あるブランドに対しては、そのような印象を持っている人が多いと思います。
実はブランドには、変えてはいけないもの(不易)と変えていくもの(流行)があります。
たとえば、室町時代後期から5世紀にわたり続いている和菓子の名店・虎屋の場合、「本当に美味しいものを誠実につくること。一生懸命に和菓子を極めること。それ以外に変えてはいけないものはない」と断じています。
それを証明するかのごとく、1980年にはフランス・パリへ出店、2003年には新業態の「TORAYA CAFE(トラヤカフェ)」を六本木ヒルズに出店するなど、伝統企業にもかかわらず革新的なことにチャレンジしています。
“不易”はブランドの核となるもの。
「なぜ、自分たちのブランドは存在しているのか」というブランドの使命です。ここは絶対に変えてはいけません。
もしも簡単に変えられるようなもの、あるいは変えても違和感がないものであれば、それはブランドの使命ではない可能性があります。
一方“流行”は、時代の変化とともに変えていかなくてはいけません。
たとえば、皮革製品やアクセサリーなどを扱うフランスの高級ブランドであるエルメスは、1837年の創設時、馬車の鞍などを製作していました。
当時の交通手段は馬車であり、さらにブルジョワ階級にとって馬車に贅をこらして飾ることは格別なステイタス・シンボルだったのです。
その後、交通手段が馬車から車へ変わり、これからは小旅行が流行ると予測した後のエルメス3代目エミール・エルメスは、旅行にも使えるサック・オータクロアと呼ばれる鞍入れ鞄(ケリーバッグの原型)の製作を始めます。
徐々に鞍よりも鞍入れ鞄の注文が多くなってきたこともあり、エミールは鞍づくりから鞄づくりへシフトすることを、兄である2代目のアドルフ・エルメスに提言しました。
しかし、馬具職人としての誇りを持つアドルフはそれを拒み、引退してしまうのです。
その後3代目を継いだエミールは、女性たちが外で働くようになってモノの価値が変わってきたことを知ります。
そこからエルメスは鞄やハンドバッグ、財布づくりを始め、馬具専門店から脱却し、時代の大きな波を乗り越えることができたのです。
エルメスはいまでも馬具をつくっていますが、それだけに固執して変化を拒んでいたとすれば、現在のような成長を遂げていなかったでしょう。
いまや消費者のニーズは複雑かつ多様化しており、小さな会社では的確なニーズをキャッチすることは困難です。
そんな時には、エルメスのように市場(お客様)の声に耳を傾けることで、時代にフィットしたニーズを読み取り、ブランドの価値を進化させていくことができます。
さらに応援されるブランドであれば、お客様からブランドのことを考えた適切なフィードバックを受け取ることもできます。
そして、そのフィードバックをブランド側が受け入れることで、そのお客様は前にも増して応援してくれるようになるでしょう。
応援してくれるお客様からフィードバックをいただき、それを元にブランドの価値を進化させることで、さらなる応援が生まれる。
これこそが応援がもたらす好循環なのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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