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相田冬二『あなたがいるから』(Bleu et Rose刊/イラストレーション:箕輪麻紀子)に届いた言の葉たち(写真:財津結)
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匿名さん
上質な文章は自分の背筋を伸ばしてくれると言いますか…家事の合間にひとつ、ふたつ、と、気になるタイトルから読ませていただき、読了の頃にはスッと肩が楽になるような不思議な感覚でした。
観た作品の劇場パンフは必ず購入し手元に残して参りましたが、101作分が1冊にまとまっているご著書は、お得感満載な上に未鑑賞の映画でも「読んで」楽しめる、作品に興味が湧く巧さに惹き込まれました。
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財津結さん
観たことのある映画は101作品中ひとつだけだったので、その作品評から読む。もう16年も前の作品だ。私の中にうっすらと残る映像の記憶と、記憶よりは多めに残っていた余韻やおもかげが息を吹き返し、それらがコラージュされる感覚につつまれる。16年後の静かな追想に、相田さんの文章が伴走してくれる。
他はどうだろうと思いランダムに読みゆくと、やはり観たことのない作品たちのおもかげに出逢う。知らない店の知らない料理の、豊かな後味のみをたのしむようであり、おもしろくなってついつい毎夜、ページを捲る。
『あなたがいるから』は、いつもなら積極的に加わってこないような人々をも、映画に反応させることができる触媒なのだろう。
この本を置く書店の棚の中でもきっと、スマートなムードメーカーだと思う。
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たぬろくさん
本が世に出てさまざまな場所に手元に渡る。
一冊一冊は偶然や必然が重なってある人の手元に行き着く。
「あなたがいるから」
白い可憐なその本はいま、電車も通らない小さな海の町の私の手元にある。
殆ど奇跡に近い確率。
昨年冬。
映画館もないこの町に相田さんが映画を運んできてくれた。
ちょうどこの本が生まれたばかりの時と重なった。
相田さんがこの町に持ってきてくれた映画は私たちに感じるということを教えてくれる。
わからないという人もいた。
でもわからないということも大事なのだ。
わからなかったこと。
私はなぜ泣いたのだろう。
なぜ震えたのだろう。
この本はそのことを考えさせてくれる。
映画の楽しみ方の一端へと導いてくれる。
小さな海の町の小さなカフェで、町に住む、映画に少し遠のいている人にも読んでほしい。
この本がここにある意味。
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荻窪 Titleさん
映画の劇場用パンフレットに寄稿した作品評が101篇。その映画を観ていなかったとしても、言葉だけで立ち上がってくる世界がある。スクリーンに映っていること、いないこと、それを観る体験までもが丁寧に綴られた、それ自体映画のような本。
相田冬二『あなたがいるから』
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MaUさん
相田冬二さんの「あなたがいるから」はときにテーブルクロス引きだ。映画好きを自称する私は作品の欠片を拾い集めて一つひとつの食卓を整えている。そんな隙のないはずの私のテーブルから相田さんはすん、とクロスを引く。
その鮮やかさ、その軽やかさ、その紳士的な手技。恐れか悔しさかそれとも歓びなのか、説明のできないため息をつきながらついついふふふんと微笑んでしまう。
昇順か降順か事前か事後か、いつでもどこからでもご自由に、という懐もありがたい。コーヒーとショコラをお供に今日も書棚から手に取る、大切に、大切に…
(Title 2025.16のXより)
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絵津鼓さん(漫画家)
新年1冊目は、相田冬二さんの『あなたがいるから』
作品の全体へのイメージや感想に触れつつも、どこかポイントを絞って綴られる言葉が美しくて美しくて、相田さんの暖かい眼差しが羽衣のような本🧚♀️
「女神の継承」のタイトル“わたしたちは供物”このワードセンスに撃ち抜かれました〜
(絵津鼓/fobit 2025.1.1のXより)
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三軒茶屋 twililight さん
ライター・相田冬二さんが1999年から2024年に映画パンフレットへ寄稿した作品評101篇を収録した『あなたがいるから』が入荷。相田さんの文章を読むと観たことがない映画を好きになる。スクリーンに映らないものを言葉にして上演してくれる。この自立する本を読むことも一つの映画体験だと思う。
(twililight 2024.12.25のXより)
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匿名さん
101篇を読み終えた。
観たことがある作品はたった一作品のみだった。
読んでみてどれも、観た人にしか書けない文だなぁと思う。
だから観てない自分にはわからなかった、ではない。
だからこそ、その作品が観たくなる。
作品の話以上に、作品から受け取ったものの話をしている。
それを、確かめたくなる。
私だったらどう感じるのだろうか、と知的好奇心が湧いてくる。
私が相田さんの文と同じものを受け取るかはわからない。
でも、同じか、正しいかはどうでもいいのだ。
自分で感じ、考えることが肝要。
自分の頭と心を働かせたくなる文だ。
相田さんの文が私を、読み手を、観客を能動的にする。
そんな、101篇。
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kahoruさん
ブックカフェにありそうな、かわいい表紙、手に馴染みやすい手触りの本。
それはまるでお客様を待つドアのようだ。
丁寧に案内されて、好きなドアを選ぶ。
ドアを開けたらすぐに映画の中に放り込まれる。
これは観た映画、とノブを回すと途端にその空気感がよみがえり、自分とは違う視点からの景色を体感できる。
相田さんの文章が自分の感情を鮮やかにしてくれる。
このドアを閉じた後の私には何が視え、何を感じるのか。楽しみになる。
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PEOPLE BOOKSTORE 植田浩平さん
文章は書き出しが命だとおもっています。それと同じように、わたしにとっては映画のファーストシーンが重要なのでしょう。いま、なにかがはじまった。(…)よっぽどのことが起こらない限り、ストップせず、最後まで駆け抜ける。だからこそ、はじまりに立ち会うことは、映画の終わりを看取るより大切だと感じているのかもしれません。(相田冬二)
12月20日、金曜日。開店直後に、ジャズ録音日調査委員会(編)『日めくりジャズ 365(2025年版)』と相田冬二『あなたがいるから』が同時に届く。開封検品して商品写真を撮影、オンライン・ストア〈平凡〉に上げる準備を整える。ツイッターで紹介すると後者の著者、相田冬二さんがさっそく反応してくれメールを交えてのやり取り。自費出版、インディーだからってわけじゃなく確かな温度を感じさせてくれる。こういうものを扱えるから、本屋は楽しい。
(「PEOPLE BOOKSTORE・店主のブログ」より)
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はるまふじさん
「綺麗は汚い、汚いは綺麗」
シェイクスピアの四代悲劇のひとつ、『マクベス』に出てくる有名なセリフである。
日本ではなんだか高尚で取っ付きづらいものとして扱われているシェイクスピアは、猥雑で、下世話で、ちっとも高尚なんかじゃない。にんげんをひたすらに見つめるこの作家のまなざしには、気取ったところなどありはしない。本音と建前、絶望と希望、悲劇と喜劇、正気と狂気。ひとの中には同じようにただ存在するということを教えてくれる。
相田さんの著書『あなたがいるから』を読んでいると、シェイクスピア劇を思い出す。映画を撮るということは、「にんげんを描く」ことに他ならないのだという普遍性と、映画表現のバリエーションの豊かさを相田さんの「ことば」が同時に届けてくれる。
それだけには止まらない。相田さんの「ことば」で、わたしの中にある舞台俳優さんのお芝居が急に解像度を上げて見えることがある。突然フラッシュバックするようにやってくるそれは衝撃的。こんな体験が得られるのは、相田さんの「ことば」に接した時だけだ。
『あなたがいるから』には、相田冬二という書き手が映画芸術と真摯に向き合ってきた軌跡が綴られている。ページをめくるたびにワクワクして、読むたびに新しい何かに気付く。この軌跡が次に見せてくれるものは何だろう?