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愛知厚顔
2021年1月20日 20:16
鈴鹿の仙ケ岳から稜線続きに西南を眺めると、平坦な山頂に緑とススキの穂波がキラめいている。これが御所平。この広がりに憧れて登山者はフキ谷、あるいは御所谷をつめる。谷を遡行するルートも最近は荒れていて、踏み跡もはっきりせず落石の危険も重なる。また谷の詰めは繁茂したブッシュ漕ぎとなり、かなり労力を消費する。うんざりする頃にようやく御所平に出る。御所平は期待どおり、ススキの穂が風に揺れて逆光に美しい
2020年12月30日 21:31
私がはじめて御在所岳の山頂に立ったのは、第2次大戦後数年たったある秋だった。敗戦のショックと慢性的な一億総飢餓の時代。せっかく就職してみたが、満員電車での遠距離通勤と栄養不良で身体をこわし、家で療養する毎日であった。ある日、窓から北のほうを見ると、緑濃い鈴鹿の山々の中に、ひときわ堂々としたある。青空は果てもなく拡がり、白い雲がほんの少し頂にかかっている。子供のときから山に入って遊んでいたので、