見出し画像

谷川俊太郎さんの詩は、いつもそばにあった。

谷川俊太郎さんが亡くなられました。
巨星墜つ。
偲び振り返ると、わたしの人生の傍にはいつも谷川さんの詩があったことに気付かされます。

小学生の時、教科書で読んだ「朝のリレー」。
(今調べると中学校の教科書に掲載されているようですが、わたしは小学校で習った記憶があります。)
眠れない夜に、真っ暗な空間で一人で起きているのが心細かった時、この詩をよく思い浮かべたものです。
今、日本は夜だけれど、地球の裏側では朝が始まっているのだと。やがてわたしも世界のどこかから繋がってきた朝のバトンを受け取るのだと。
そう思うと、この真っ暗闇に一人ではない、と感じられ、安心して眠りに落ちたのです。

二十億光年の孤独」を読んだのは、高校生の頃だったと思います。
透明感、鮮烈さ、日本語の持つ可能性のようなもので、ズキューンと撃ち抜かれたように思いました。
おしゃれだ、かっこいい日本語だ、と思いました。

大学生になってから、好きな本を紹介するというのが友人の間で流行りました。
その時に紹介する本を常にピックアップしておくのですが、必ず1冊入れておくのは、谷川さんの「魂のいちばんおいしいところ」です。

装丁もかっこいい

この詩集には大人になったばかりの人間の瑞々しさのようなものが詰まっています。
平野甲賀さんの装丁も素敵で、センスの塊のような本だと思っています。
「やわらかいいのち」「ころころ」「三つのイメージ」「明日」など。
今は絶版になってしまっているようです。未来への広がりを感じる詩集です。

社会人になってからは、「夜のミッキーマウス」という詩集を買いました。

タイトルからして洒落てる

これはだいぶ大人向けの一冊。
「不機嫌な妻」「ママ」「広い野原」「あの人が来て」など。
全ての詩が、今読むとまたぐっと来ます。
若かりし頃にはわかり得なかった感覚があります。

谷川さんの紡ぐ言葉からは、宇宙を感じます。
日本語の奥行が、宇宙空間のように果てしなく、遥かなのだということを教わったように思います。
いつもわたしの人生のそばにあった、谷川さんの詩。
谷川さん、どうぞ安らかにお眠りください。
心から感謝を申し上げます。

いいなと思ったら応援しよう!