《感想》いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
【いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう】
▶連続ドラマ
放送当時もリアルタイムで見ていて
久しぶりに再視聴。
時間が経ってもやっぱり良い。
なんなら、時間が経ってなお良い。
もうこんな豪華なメンバーが揃うことはないんだろうなっていう切ない気持ちと大好きなメンバーすぎてこんなメンバーを揃えてくれてありがとうの気持ち。
物語自体は時間が経った今見てももちろん良くて、年齢を重ねた自分がリアルタイムで見ていた頃とはまた違った目線と思いで見れるのも良いところだけど、当時の自分の思い出も一緒に思い出される感じがとてつもなく良くて元々大好きな作品なのに更に好きが増した。
有村架純×坂元裕二、有村架純×ファミレスと言えば最近は【花束みたいな恋をした】だけど、元祖はこれだよなとか思ったり。
有村架純が大好きで似たニットを買ったから今でもものすごく濃く記憶に残っている音(有村架純)の1話のファッションとか、ヘアスタイルとかメイクとかファッションとか。
当時のトレンド&憧れをふんだんに詰め込んだ木穂子(高畑充希)を真似していたから私の青春そのもので今見てもやっぱり大好きな木穂子とか、1話の義母に言われた「逃げなさい」とか、「ぶどうの花は〜」とか、色々鮮明に覚えているところもあれば、こんな場面あったかなとか、義母って角替和枝じゃなかったっけ(たぶん柄本明に引っ張られている。笑)とか、母は紺野まひるだと記憶がすり変わっていたりだとか、いつの間にかこぼれ落ちていたり勝手に作り上げたりした記憶に驚いたり人間の脳の不確実さみたいなものと向き合い実感させられる時間でもあった。
私も高校を卒業してから地元を出て都会に生きている。きっと彼らに近い道を歩んでいる。地方出身だから地方特有の人間関係や仕事選びなど生きていくことの困難さを知っていてそれが私には我慢できなくて知らない人だらけの世界で自由に生きられる東京や大阪に憧れを持っていた。今きっとその頃の自分の憧れは叶えているんだけど、それ以上に都会ゆえの悩みや苦しみを知ったし現実の厳しさはたくさん味わったし何より都会に生きているからといっても大して人生が変わらないことを今はもうお腹いっぱい知っている。
事情は違うけど地方出身で変えたいことがあって東京に出てきた音、練(高良健吾)、木穂子、小夏(森川葵)の地元にいた頃とはまた違う息苦しさが苦しいほどにわかる。でももう帰れないから頑張るしかないことが、それがわかることがいちばん苦しい。
朝陽(西島隆弘)と晴太(坂口健太郎)は音たちが欲しいものをそれぞれ持っているけど、本当は彼らの満たされない心が何より厄介。そんなことを感じ取れるくらいには自分も大人になれたのだろう。
リアルタイムの時は高校生で、音たちがどこまででも自分の手で世界を切り開いていける大人に見えていたけど、今では後半の音と同じくらいの年齢なってしまって音が上京したころの無知からくる自由さや不安定さはもうないけれど、後半の彼らが現実もだいたいわかっているけど夢も未来も描いてしまってでもやっぱり自分では切り開く力も勇気もなくて社会や大人や自分の人生に対しての反抗心だけはあるその気持ちは痛いほどわかる。
大人だけどまだ大人になりきれていなくて独りでも生ききれない、そんな未熟な自分自身と社会の狭間でくすぶっている半人前だということを知ってしまった。
自分では大人だと思っていながらもまだまだ甘くて浅いから、今しか見えていなくて精一杯の日々だけどもっと大人になれた時にはそんな苦しみや日々を含めてこの恋を思い出してきっと泣いてしまうんだろうなと思えた。