第1話 宮前先輩と、バス停前
宮前先輩が、コンビニの袋から取り出したアイスを半分に割り、「はい、どうぞ」と私に差し出した。
「ありがとうございます」と丁寧にお礼を言って、それを受けとる。ひと気のないバス停で、ふたりでベンチに腰かける。
帰りのバスが来るまであと30分。
袋から取り出したアイスは、早くも熱気で柔らかくなっていた。
先輩は溶けかけたアイスを咥えながら、「葵も大変だねぇ」と制服の胸元をつまんでパタパタと手で仰ぐ。 「そうですねぇ」と暑さにやられている私は、適当に相槌を返した。
葵とは、私の