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僕が退職を決めた理由。週末を待って過ごす自分がイヤだった
気がついたら金曜日の夜が好きになっていた。別に何の用事がある訳でもないが、見えない束縛から解放されるこの瞬間が妙に心地良くてたまらなかった。
初めから「仕事嫌い人間」では無かったはずなのに、気がついたら週末は仕事のことから遠ざかろうとしている自分がいる。
もっと楽しく働けたはず…
たぶん誰しもこんなことを思いながら働いていると思うが、超ネガティブ思考の僕の場合は、一度考え出すと出口が見えなくなるくらい深い穴に落っこちてしまう。
そして、這いつくばってようやく見つけたのが一縷の望み。恐らく登っているうちに切れてしまうんでは無いかと思うくらいに細い細い糸につかまりながらもがいている。たぶんパリオリンピックで有名になったクライミングの「森秋彩」選手だったら、こんな所スイスイと駆け上がってしまうんだろうが、僕の筋力ではその場で耐えているのが精一杯だ。
…
週末、上司に声を掛けられて二人で飲んだ。
「もう一度頑張ってみないか?」
「すみません。もう自分の中で決心がついたことです…」
正直、上司の優しい言葉は嬉しくて仕方なかったが、ここで甘えてしまうと全てが逆戻りしてしまうような気がして心を鬼にした。上司の目にはうっすらと涙が浮かんでいるようにも見え、あまりのやるせ無さに一刻も早くその場を立ち去りたい気持ちになった。
たぶん、今の僕は3メートル先も見えない暗闇の中へ一直線に突き進んでいるのだと思う。そういえば、昔ジョジョの話の中で「覚悟とは、暗闇をつき進むこと…」的なくだりがあったのを思い出したけど、こういうことだったんだと今更ながら発見してしまった。
果たして僕の「覚悟」の先には何が待ち受けているのか全く想像さえも出来ないが、無職の恐ろしさは計り知れないものがある。今更ながら、なんか僕は根っからのサラリーマンなんだなぁって思ったりもした。
「FIRE」だったら良かったのに…
でも、もっと怖いのは終電に乗って、あてもなくいつまでも終着駅に辿り着くのを待っているような自分がいたこと。どこで降りようか、次の駅で降りようと考えていても、心臓がドキドキして飛び降りることもできず、そのまま寝たフリをしていた。
そして、ようやく辿り着いたのは「終着駅」ではなく「週末駅」。まるで箱根の山をスイッチバックしているかのように、束の間の「週末駅」を行き来しているだけ。
そして、大平台駅を過ぎたと思った瞬間、真っ逆さまになって凄い勢いでゴロゴロと転げ出した。
もう、僕の力では止めることもできない。覚悟…
小田原の海って深いから、せめて手前で止まってくれるといいなあ…
もう、こんなことばかり考えていないで職探し、職探し…
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。