イマここに生きる!オーガニックオーダー、暦のお話 〈処暑・末候「禾乃登(こくもの すなわち みのる)」>
2020年9月2日~6日
処暑・末候「禾乃登(こくもの すなわち みのる)」
禾はノギ(イネや麦などの穀物)のことです。
イネ科の穀物、とりわけ日本で主食とされる稲(お米)が実り、収穫の時を迎える季節という意味になります。
稲の別名は禾稲(かとう)。
中国の宣明暦でも処暑末候は「禾乃登」で、一万年前の長江流域では稲の栽培が始まっていたと言われています。
当初は自然の湿地を利用したり、陸稲(りくとう、おかぼ)を育てる雑駁(ざっぱく)耕作だったようですが、その後、水耕栽培の技術がアジアモンスーン地域に全体に拡がり、独特の水田稲作文化が形成されました。
季節風土にあった主食と農耕
日本の場合、食料確保の問題の他に気候風土に合った主食確保ということで、表作(夏作)の水稲収穫後、裏作(冬作)に麦、小麦を育てると聞きました。
地域や農家さんで違うことも考えられますから一概には言えないと思いますが、
『暑い夏の主食にやや陰性で身心を養う麦、小麦をとり入れ、寒い冬の主食には温めて大いに身心を補い養い元気をもたらしてくれる米を中心とする』
というお考えを伺ったとき、学んできた伝承医療の観点からも大いに頷けるものがあり、なるほどと思いました。
稲はなぜ水耕なの?
日本で育ったなら、誰でも一度は不思議に思うこと?かもしれません。この『なぜお米は水田でつくられるの?』という疑問。
せっかくなのでざっくりまとめてみました。
まず性質について。
稲は、茎葉から根への通気組織がよく発達しており、大気中の酸素が植物体内を通して根へと送られやすいため、根が酸素欠乏になりにくい性質を持っています。似たものにハスがありますね。
★違いざっくり★
陸稲は…
●降雨の影響➢大きい。乾燥に弱いため、多くの降水量必要
●日照➢大いに必要。降雨がない場合は、スプリンクラー等での散水が必要
◎毎日晴天で気温も高く、夕方に一時的に雨が降るような天候が望ましい。
●肥料➢水稲の倍必要。根本をビニール等で覆う必要もある。(雑草防止と温度を上げるため)
●病気➢一通り、水稲と同じ病気を危惧する必要あるが、いもち病には水稲より強いのが普通
●連作➢何年も同じ畑で陸稲栽培していると、病気が出やすくなり、収穫量の減少となってしまうことがある。
稲作は水稲が選ばれることが多いのは、こういった理由からのようでした。
日本のお米は今、激動の渦中に
昨今、種子法の廃止や種苗法についての話題が以前より聞かれるようになりました。この問題について尽力なさっている元農林水産大臣の山田正彦さんもご出演されているドキュメンタリー映画『食の安全を守る人々』も、2020年10月に完成とのこと。先日、三分間の告知動画を視聴しましたが、幅広く取材されており、この問題に初めて触れる方にもわかりやすいのではないかと思いました。
食料主権に関わる問題でもありますから、年齢、立場に関わらず、それぞれに見解があって当たり前ですし、そうなるべく情報開示と話し合いの場が持たれることを望んでいます。
この時期の養生
日中は残暑厳しく、熱中症の対策もまだまだ必要ですが、朝晩は大分過ごしやすくなってきたと感じます。
わたしは厚着が嫌いですが、とても寒がり…。
ですから、薄着で気持ち良く過ごせるこの時期はまさにお恵みの時期。
いつでも贈り物にあふれていると感じますが、こういった時期は作業もはかどり、より感謝の気持ちが大きくなります。
特にここのところ、過ごしやすく美しい月夜で、観月しながら過ごすこの時期の夜は、何をするにしても本当に気持ちの良いものだなと思います。
アーユルヴェーダでは、挽夏から初秋の養生として、日中の激しい日光を避け、月光浴で身体を癒すようにすすめらています。(深酒と一緒で、未明までの夜更かしは害となるともいわれていますよ(笑)適度は大切ですね)
日本にも古来より、秋はお月見の風習があり、観月しながらゆっくり過ごすことは風雅なものとされてきました。
とはいえ一般的な保健教育では、『早寝早起き、日光礼賛』のような雰囲気があり、夜の過ごし方も『安静にして早く寝る』以外、あまりすすめられないイメージがあります。
昨今、日光アレルギーを自覚する人が増え、紫外線の害も強くなっていると注意喚起されています。
例によってわたしもそれほど直射日光に長くあたったり、日中の活動が得意とは決して言えません。
保健教育にもお世話にはなっていると思いますが、これだけでは実はうしろめたいようなネガティブな想いを持たざるを得ませんでした。ベストが決まっていて、そこから外れてしまうというのは残念な気持ちを多少は持ってしまうもののようです。(性格かもしれませんが)
けれど、伝承医学を勉強し始め、
漢方の先生から『感じたもの、観じたことを大切にして良い』ということや、アーユルヴェーダの古典書を読み下して下さる先生から、『養生は個々人で違って当たり前』と教えて頂いてから、とても気持ちが明るく前向きでいられるようになり感謝しています。
そう、個々人ちがって当たり前なのです。
ですから総じて考えると、あまり日中の活動だけにこだわり過ぎず、夕方以降の美しいくつろぎの時を大切にするのも良いことで、心身の健康には欠かせないものというわけです。
身近な方や環境を大切にしながら愉めると良いのでしょうね。
自分自身も含めた大切な人と共に過ごす時間は、人生の真ん中に据えたいものだなと、月を観ながら思います。
☆次回は食事について触れていく予定です☆
20200904