眠れない夜に「おはなし」を聞く
睡眠導入のためにアナウンサーができること
「聞いていると眠くなる」は、ほめ言葉だったのか
「20分以上のお話をもっと朗読して録音してほしい」
青空朗読で、私の朗読を聞いてくれた60代の女性が、
ずっと私に言いたかったと伝えてくれました。
「20分くらい読んでくれると、すーっとそのまま眠れるんです」
「5分や10分で終わってしまうと、もうちょっとで夢の中に行けそうだったのに、と思ってしまう」
「福井さんの朗読は、聞いていたら安心して眠くなるんですよね」
「聞いていると眠くなる」は、否定的な意味ではないのだなぁ。
授業や講演の場合は、「聞いていると眠くなる」と言われると、内容が面白くないからだったり、話し方がつまらないからだったりと否定的な意味でしかないと思うのだけれど、朗読の場合は、ほめ言葉になるのかもしれない。
アナウンサーの朗読と俳優の朗読は違うのか
「読むこと」を生業にしている職業といえば、
アナウンサー、ナレーター、声優、俳優などでしょうか。
いずれも資格があるわけでは無く、明確な区分けがあるわけでも、どこかに登録して認められることが必要な職業でもありません。
同じように「読む」ことを仕事にしている人が「朗読」する場合、
それぞれの特徴が現れてきます。
有名な声優さんや俳優さんの朗読は、その人そのものが映像として浮かんだり、代表的な役が映像として浮かびやすいかもしれません。
もしくは、迫真に迫る演技で、聞いていて「ドキドキハラハラワクワク」が感じられやすいかもしれません。
アナウンサーやナレーターも有名な方の場合は、その人の姿が映像として浮かぶかもしれませんが、私のような無名なアナウンサーやナレーターが読む場合は、読んでいる人の映像は浮かびにくく、聞く人がその内容から自由に映像をイメージしやすいかもしれません。
迫真に迫る演技という意味では、俳優さんや声優さんよりは控えめになるかもしれません。といっても、アナウンサーでも迫真に迫る演技で読む人もいますし、俳優さんで淡々と読む方もいらっしゃいます。
ただ、傾向として、アナウンサーの朗読は、聞く人のイメージを邪魔しずらく、迫真に迫る演技が少ない分、安心して聞ける。
アナウンサーの朗読=睡眠導入にはピッタリ!なのではと、気づかせて貰った一言でした。
大人だっておはなしを聞きたい、誰かに読んでもらいたい
「子どもたちは、おはなしを聞くのが大好きですから」
保育士さんや小学校の先生から言われることです。
でも、「大人のための読み合いっこの絵本会」を主催してきて思うこと。
「自分で読めるようになった大人だって、誰かに読んでもらいたい」
のです。
「人に読んでもらうと、自分で読んだときとは感じ方が違う」
「一人で読んでるときに気づかなかったことに気づく」
絵本を持ち寄って、一人一人が持ってきた絵本を、大人同士で読み合いっこすると、参加してくれた人が口々にこう言います。
誰かに読んでもらうこと、自分のためによんでもらうこと、
大人になったら、なかなかそういう機会はありません。
自分で文字が読めるから、自分で読むのです。
人に読んでもらえると、目で文字を追いかける必要が無く、
言葉から自由にイメージを膨らませることができます。
ベッドに入って、布団の中で、目を閉じて、
誰かに「おはなし」を読んでもらう。
大人向けの「読み聞かせで寝かしつけ」かもしれません。
目を閉じて「おはなし」の世界に浸っているうちに、夢の中へ…。
コロナを機に新規事業としてやってみる
大人で絵本の読み合いっこをしてきたから、大人も誰かに読んでもらいたいというニーズがあることがわかる。
睡眠導入に安定したアナウンサーの朗読を聞きたいというリクエストもある。
コロナの影響で司会の仕事も減っている。
だから、思い切って「一歩踏み出してみよう」
一歩踏み出した先に、これからのアナウンサーの仕事として、
見える物があるかもしれない。
アナウンサーの新しいビジネスモデルになるかもしれない。
そんな思いで、「オーディオブック制作」という新しい事業に、
一歩踏み出してみようと、事務所内に防音スタジオを作りました。
少しずつ少しずつ、録音を始めています。
「オーディオブック」を聞くための方法
とはいえ、まだまだ誰もが知っているとは言えないオーディオブック。
少しずつ広がっているとは言え、聞いてくれるユーザーが増えることで、
私達が #一歩踏み出した先に 見える景色が変わってくるはず。
いくつかオーディオブックを聞くための方法を紹介します。
試してもらえると嬉しいです。
オーディオブック(OTOBANK)で聞く
日本でのオーディオブックの先駆けOTOBANK社が運営しているサービスです。
有料で会員登録が必要ですが、コンテンツの数も多く、録音も一定レベル以上の環境で行われています。
聴き放題サービスも充実しています。
アプリをスマホにダウンロードして聴き放題サービスで聞くのが、私が個人的にオススメしている方法です。オーディブル(Amazon)で聞く
Amazon社が運営しているサービスです。
有料です。OTOBANKのオーディオブックと同じ作品も多いです。
Amazonの利用が多い方、Kindleを利用している方などには使いやすいと思います。
聴き放題サービスも始まりました。Apple Books (Apple)で聞く
iPhoneやiPadの人には便利です。
「ブック」というアプリが入っています。
アプリの中のストアから「オーディオブック」を選択して、聞きたい作品を購入します。
コンテンツはOTOBANKのものもAmazonのものも、入っていますが、
聴き放題サービスはありません。青空朗読
青空朗読は、オーディオブックではありませんが、Webサイト上でおはなしを聞けます。アプリもあります。
作者の死後一定期間が過ぎ、著作権の切れた作品(青空文庫に掲載されている作品)の朗読を掲載しています。
朗読しているのは、フリーのアナウンサーが中心ですが、最近は一般の方の応募作品も一部掲載されています(審査あり)
様々な方の朗読を聞いて、自分の好みの声や作品を探すに良いと思います。
ただ、朗読の録音はボランティア(無償)で行われていて、録音環境も朗読スキルも人や作品によって差があります。
眠れない夜に聞いてみてもらいたい作品
オーディオブックの作品として、まずは、
小川未明や新美南吉などを朗読してみました。
眠れない夜にそっと寄り添えるかな。
短い作品も多いので、睡眠導入にはちょっと物足りないかもしれません。
これから長い作品も増やしていきますね。
聴き放題サービスにも対応しています。
では、これまでに録音した作品はこちらです。どうぞ。
「あなたの一日が世界を変える」著 くすのきしげのり 朗読 福井一恵
「牛女」作 小川未明 朗読 福井一恵
「春近き日」作 小川未明 朗読 福井一恵
「眠い町」作 小川未明 朗読 福井一恵
「チューリップの芽」作 小川未明 朗読 福井一恵
「デンデンムシノカナシミ」作 新美南吉 朗読 福井一恵
「正岡子規」作 芥川龍之介 朗読 福井一恵
「小さな金色の翼」作 小川未明 朗読 福井一恵
「かざぐるま」作 小川未明 朗読 福井一恵
「赤い手袋」作 小川未明 朗読 福井一恵
「お父さんの見た人形」作 小川未明 朗読 福井一恵
「赤い船」作 小川未明 朗読 福井一恵
「金が出ずに梨の産まれた話」作 小川未明 朗読 福井一恵
「電信柱と妙な男」作 小川未明 朗読 福井一恵
「心のお茶。大切な人へ」著 井上泉 朗読 福井一恵
アナウンスハウス松山の
感想などお聞かせいただけたら、とても嬉しいです。
著者/出版社の方からのオーディオブック制作についてのお問い合わせは
こちらからお願い致します。
弊社は、OTOBANK社のaudiobook、Amazon社のAudibleいずれも直接契約しております。
許諾を頂き弊社からオーディオブックを出版することはもちろん、
制作を委託していただき、御社から出版していただくことも可能です。
アナウンスハウス松山合同会社 福井一恵