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三鷹歌農書 2401-2420

地に潜る空へ昇るもヘビウリの命の次のステージ良けれ
三鷹歌農書(二四○一)
ベテランは鎌と鋏の二刀流潮引くごとくイモヅル消えつ
三鷹歌農書(二四○二)
芋掘ればナカジロシタバの幼虫の踊り狂ふを潰すも作業
三鷹歌農書(二四○三)
秋空に点呼のこゑを響かせてハルカにアズマ芋の山積む
三鷹歌農書(二四○四)
じんせいの浪費家われの姿ならむ甘薯を掘れば百足が逃げる
三鷹歌農書(二四○五)
来世の先取りなのか神無月巻貝まねるヒモナスの尻
三鷹歌農書(二四○六)
青大将の皮のみ台に残りゐて裏の薪場は探さずにおく
三鷹歌農書(二四○七)
海底の古代の小さき化石たちキンセンカの種はまづ愛でてから
三鷹歌農書(二四○八)
ブロッコリの根はマッチョ系なるゆゑに定植は土をしつかり締めよ
三鷹歌農書(二四○九)
針金のやうなるを抜く守口大根(モリグチ)は間引きをしてもモリグチにして
三鷹歌農書(二四一○)
カラスウリのイルミネーション剝ぎ取りぬブルーベリーを覆ひ尽くすを
三鷹歌農書(二四一一)
ヤブガラシとカラスウリ一輪車(ねこ)に山と積みブルーベリーを救出したり
三鷹歌農書(二四一二)
下半身生々しきまま落ちにけりトロンボンチーノ熟れきれずして
三鷹歌農書(二四一三)
土ならぬわが家の鍋へ零余子たちバターの泡にまみれて喰はる
三鷹歌農書(二四一四)
十月の半ばナス科の殿(しんがり)を務めおへしを集めて讃ふ
三鷹歌農書(二四一五)
ヒモナスも今年最後となりぬれば木乃伊にすべく豚バラを巻く
三鷹歌農書(二四一六)
雨は腕だつたのか地に花落としキンモクセイの香りの投網
三鷹歌農書(二四一七)
一ぴきは淋し秋刀魚にヘビウリとトロンボンチーノを侍らせて焼く
三鷹歌農書(二四一八)
平原に象牙色なる山々の出現しつつサフランの芽よ
三鷹歌農書(二四一九)
自らの重みに落ちてうちがはゆ毬割り飛ばす栗の大粒
三鷹歌農書(二四二○)


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