三鷹歌農書 1321-1340 三鷹歌農書 2024年5月15日 08:26 魁の紅妃は花の盛りなれば早雄綻ぶに死に物ぐるひ三鷹歌農書(一三ニ一)シンバルをしづかに鳴らす早雄を摘みて紅妃の初花に当て三鷹歌農書(一三ニニ)薔薇いちりん朝陽をあびて雄蕊よりその影長く花弁に揺らぐ三鷹歌農書(一三ニ三)耕運機かけて黒つち掘り起こす飛行機雲の伸びてゆくやう三鷹歌農書(一三ニ四)補助翼(エルロン)も生え始めたるタネ芋のコガネセンガン発進しさう三鷹歌農書(一三ニ五)赤き爪ムラサキの爪あつまりて空(くう)摑み取るぼうたんと知れ三鷹歌農書(一三ニ六)大麦の穂の熟れ始め静止せるままに花火の乱れ飛ぶさま三鷹歌農書(一三ニ七)トウモロコシだからトウモロコシだから一本残し他は切り捨つ三鷹歌農書(一三ニ八)ぼうたんの蕾の玉がポンと爆ぜ一日咲きて散りゆく暑さ三鷹歌農書(一三ニ九)太陽が小さき太陽うみおとす牡丹の蕊を出るハナムグリ三鷹歌農書(一三三○)竹割りてトックリイモのベッドとしふかふか土をこんもりと盛る三鷹歌農書(一三三一)菜の花におぼるるアゲハわが目にも溺れて飽かぬ春のあかるさ三鷹歌農書(一三三ニ)シイタケ二つ同じ穴から出てしまひ共倒れしていただくことに三鷹歌農書(一三三三)サトイモの使ひ忘れに詫びを入れタイに招待カノムモーゲン三鷹歌農書(一三三四)ソラマメの空打つ莢の打ち終へてなにか宿しし重さに垂るる三鷹歌農書(一三三五)斥候の双葉ふり捨て噴き出づる春だいこんの本葉の息吹三鷹歌農書(一三三六)蓮鉢の浮き葉のすき間突破せしは立ち葉にあらず慈姑の出たり三鷹歌農書(一三三七)アーティチョークの蕾を守る天道虫(てんたう)の十頭ほどを確認したり三鷹歌農書(一三三八)発芽率一割に満たぬムラサキのトーテムポールのごとき茎立ち三鷹歌農書(一三三九)ホップの芽萌え立つ真中狙ひ打ちだらうヤブガラシが紛れ込む三鷹歌農書(一三四○) ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #短歌 #農業 #家庭菜園 #tanka #市民農園 #三鷹歌農書